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【連載】今さら聞けない! 基礎看護技術をおさらい

無菌操作|目的、操作の手順、注意点など

  • 公開日: 2023/11/1

無菌操作とは

 無菌操作とは、滅菌された物品に微生物が付着しないように、滅菌状態を保ちながら物品を取り扱う手技のことです。縫合などの創傷処置、手術、出産、注射、気管吸引、カテーテル挿入のほか、骨髄穿刺や腰椎穿刺といった身体に針を挿入するような検査の際に行います。

 滅菌も消毒も病原体を除去する方法ですが、滅菌は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)、エチレンオキサイドガス滅菌、プラズマ滅菌などの科学的方法で、微生物を完全に死滅除去させます。

無菌操作の目的

 身体への病原体の侵入を遮断し、感染を予防するために行います。

無菌操作における清潔と汚染の考え方

 病原体は肉眼で確認することはできないため、無菌操作を行うにあたっては、「清潔」と「汚染(「不潔」という言い方もありますが、ここでは汚染で統一します)」を理解することが重要です(表)。

 そして、実際に無菌操作を行う際は、「清潔区域」と「汚染区域」を区別して操作します。明確な境界線を示すことは難しいですが、患者さんに使用する物品(体内に挿入する物品)を置く区域、検査・手術・処置を行う者(術者)は清潔区域と考えてよいでしょう。

 清潔区域に該当する術者は、ガウンや滅菌手袋を装着すると汚染区域の物品に触れることができません。そこで、間接介助をする者(看護師)が滅菌状態をできるだけ保持して、関連する物品を渡します。少しでも汚染区域に触れることがあれば、滅菌された物品に取り替えます。操作者の一人ひとりが責任をもって行動しなければ、患者さんが感染に曝されます。

表 清潔と汚染

状態
清潔物品の表面に病原体が付着していないとみなされる状態

清潔
汚染物品の表面に病原体が付着しているとみなされる状態

汚染

無菌操作の注意点

●無菌操作の前には、衛生学的手洗いをします(速乾性擦式消毒薬による手指消毒でもよい)。
●患者さんに触れる部分、挿入する部分を素手で持たないようにします。
●患者さんに触れる器具を置く場所(例:手術器具を置いてあるワゴンなど)は清潔区域とし、素手で触れないようにします。
●清潔区域を確保する際は、窓の近くでほこりがたつ場所、水道付近で水が飛び散りそうな場所は避けます。
●無菌操作中は、唾などで滅菌物が汚染されないように会話を慎みます。

無菌操作の手順

鑷子の取り出し方

 鑷子は、滅菌された物品を扱う際に用いるため、無菌状態を維持したまま取り出すことが必要です。

【鑷子の取り出し方の手順】
鑷子の取り出し方

滅菌ガーゼの取り出し方

 滅菌ガーゼは、患者さんに直接触れるものであり、無菌状態を維持したまま取り出すことが求められます。

【滅菌ガーゼの取り出し方の手順】
滅菌ガーゼの取り出し方

処置用セットの開け方

 処置用セットに入っている器具は、患者さんに直接触れるものであるため、厳重な無菌操作をしなければなりません。なお、処置用セットの置き方は主に2通りあります。1つは、下記のように介助者が包装パックを開封して処置用セットを取り出し、清潔区域に置く方法です。もう1つは、介助者が包装パックを開封したあと、ガウンテクニックをして滅菌手袋を付けた術者が処置セットを取り出して清潔区域に置きます。

【処置用セットの開け方の手順】
処置用セットの開け方

滅菌手袋の開封・装着の仕方、外し方

 滅菌手袋は、無菌状態を維持したまま開封・装着し、使用後は外側(汚染区域)を素手で触れないように注意しながら外していく必要があります。

【滅菌手袋の開封・装着の仕方の手順】
滅菌手袋の開封・装着の仕方

【滅菌手袋の外し方の手順】
滅菌手袋の外し方

消毒用綿球(消毒製品)の扱い方

 最近は、手術創を抜糸までドレッシング材で保護することが多いこと、個装の消毒綿球や綿棒タイプの消毒製品が発売されていることもあり、消毒のための綿球を受け渡すことは減っています。ここでは、基本的な綿球の受け渡し方法とあわせて、個装の消毒綿球、綿棒タイプの消毒製品の使い方を説明します。

【綿球の受け渡し方法】
綿球の受け渡し方法

【個装の消毒綿球の使い方の手順】
個装の消毒綿球の使い方

【綿棒タイプの消毒製品の使い方の手順】
綿棒タイプの消毒製品の使い方

撮影/田子芙蓉
イラスト/早瀬あやき

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