【連載】臨床の知識をおさらい!|看護師国家試験を元に基礎知識を解説
知っておきたい! 低血糖の症状とインスリンの作用とは?
- 公開日: 2025/10/11
看護師国家試験第112回-午前-一般78
インスリンを過剰に投与したときに現れる症候で正しいのはどれか。
1.発熱
2.浮腫
3.口渇感
4.顔面紅潮
5.手足のふるえ
5回答
問題の解説
インスリンは膵臓で作られるホルモンで、血糖値を下げる作用があります。そのインスリンを過剰に投与するということは、血糖値が過剰に下がることが予測でき、血糖値の過剰な低下で見られる症状が回答となります。
発熱は体温が上がる状態で、その要因は感染症や炎症などが想定されるため血糖値とかかわりは低いと考えられます。浮腫は体内に過剰な水分が溜まることで生じますが、これも血糖値とのかかわりは低いでしょう。口渇感はいわゆる喉が渇くことですが、これはむしろ血糖値が高い状態で生じます。血糖値が高くなると身体は余分な糖を排泄するため尿量が多くなり、次第に脱水傾向となって喉が渇くようになります。顔面紅潮は顔の血管が拡張して赤くなる状態ですが、血糖値とのかかわりは低いと考えられます。手足のふるえは血糖値が過剰に低下した際に見られる症状の1つです。ブドウ糖が不足すると神経系に異常が生じることで手足のふるえが生じると考えられるため回答は5となります。
インスリンの作用についておさらい
インスリンは膵臓で作られるホルモンで、血液中のブドウ糖を細胞に取り込む働きをすることで、血糖値を下げる作用があります。糖尿病はこのインスリンが欠乏する1型と分泌低下や抵抗性が生じる2型に分けられ、いずれもインスリンの作用が低下するため、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれず、血糖値が上昇します。
糖尿病で血糖値が高い状態が続くと合併症が生じるため適切な範囲にコントロールする必要があります。その代表として糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症があり、「しめじ」の語呂合わせを聞いたことがある人もいるでしょう。
今回の問題のようにインスリンを過剰に投与されると血液中のブドウ糖は過剰に細胞に取り込まれるため血糖値が過剰に下がります。血液中のブドウ糖には限りがあるので、次第に枯渇していき、細胞にとってのエネルギー源であるブドウ糖がなくなるにつれて活動に支障がでます。一般的に血糖値が70mg/dL以下になると身体は血糖値を上げようと交感神経が働き発汗、頻脈、顔面蒼白などの症状が見られていきます。50mg/dL程度になると振戦(ふるえ)、眠気、痙攣、昏睡などが中枢神経症状がみられるようになります。50mg/dL以下になると、昏睡、異常行動、けいれん、意識障害などがみられます。
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