【連載】やさしく学ぶ 大腸がん経口抗がん剤の副作用マネジメント
第2回 大腸がんの化学療法について学ぼう
- 公開日: 2014/3/26
抗がん剤の副作用マネジメントをする上で、患者さんがどのような目的で治療を受けているのかを把握しておくことはとても大切です。第2回では、大腸がんの治療法、特に化学療法について概説します。
大腸がんの治療法はステージによって決まります
大腸がんの治療法は、主に進行度(ステージ)によって決定されます(図1)1)。
内視鏡治療は、ステージ0~Ⅰで、リンパ節転移の可能性がほとんどなく、がんが一括切除できる大きさと部位にある場合に行われます。内視鏡治療ができないステージ0~Ⅳでは手術治療が選択され、遠隔転移があるステージⅣの症例でも切除が可能であれば手術が行われます。また、ステージⅢ、およびステージⅡでも再発危険性が高い場合では、手術後に補助化学療法が実施されます。
ステージⅣで手術ができない切除不能進行再発大腸がんでは、化学療法などの薬物療法が中心となり、現状では治癒を望むことは難しくなります。
図1 大腸がんの治療法
大腸がんにおける化学療法は目的によって大きく2種類に分けられます
大腸がんにおける化学療法には、手術前後の患者さんを対象とした補助化学療法と、切除不能進行再発大腸がんの患者さんを対象とした化学療法の2種類があります(表1)。
術後補助化学療法は、根治手術後で再発抑制を目的とするものなので、化学療法投与期間は原則6ヵ月が標準的とされています。
一方、切除不能進行再発大腸がんに対する化学療法は、がんが大きくなるのを抑え、自覚症状を軽減させ、生存期間を延長させる目的で行われます。そのため期間は制限されておらず、できるだけ長く治療を続けることが生存期間の延長につながります。
表1 大腸がんにおける化学療法
抗がん剤の進歩により、切除不能進行再発大腸がんの生存期間は延びています
切除不能進行再発大腸がんに対する治療成績は、抗がん剤の進歩により大きく向上しています。1990年代の前半まではフッ化ピリミジン系抗がん剤しかなく、生存期間は1年程度でした。しかし、1990年代半ばからイリノテカン(カンプト®、トポテシン®)、2000年代からオキサリプラチン(エルプラット®)、さらには分子標的治療薬が登場したことで、生存期間を約2年まで延長できるようになっています(図2)。
分子標的治療薬は、化学療法剤とは違って、がん細胞に特異的または過剰に発現する分子に作用するため標的以外の細胞への影響が少ないことが特徴です。現在、大腸がんでは、ベバシズマブ(アバスチン®)、セツキシマブ(アービタックス®)、パニツムマブ(ベクティビックス®)の3種類の注射薬と、経口薬のレゴラフェニブ(スチバーガ®)が承認されています。
図2 切除不能進行再発大腸がんの治療効果の進歩
次のページは「切除不能進行再発大腸がんに対する薬物療法」について解説します。