第5回 体位変換&ポジショニング
- 公開日: 2009/7/8
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体位変換とポジショニング
体位変換について
第5回は、体位変換について考えます。
私たち健康な人は、寝ているときに痺れや痛みを感じて無意識に寝返りをうち、体の向きを変えています。しかし、褥瘡発生する患者さんの多くは、痺れや疼痛の感覚が鈍麻になったり、身体的能力が低下して自力で寝返りを打つことができないために、圧迫を解除できず褥瘡発生に至ってしまいます。
以前より、看護・介護の教科書では体位変換の頻度は2時間ごとと記載されているものが多くみられました。しかし、2時間ごとに体位変換をしていても褥瘡を発生する方もいます。逆に、3時間ごとの体位変換間隔でも褥瘡発生しない場合もあります。
褥瘡の発生は、骨突出の程度や栄養状態、活動性などなど、対象者の身体状況と、体圧分散寝具の使用の有無や体圧分散寝具の種類によって、リスクが大きく異なりますので一概には言えません。患者さんの皮膚の状態をよくアセスメントし、発赤などができていないかを観察しながら個別に合わせたケアを工夫することが大切です。
では、臨床現場では何を指標にケアを考えていくのか疑問が生じたときのため、ガイドラインがありますので、ガイドラインを用いて体位変換について考えてみましょう。
『褥瘡予防・管理ガイドライン』
今年、日本褥瘡学会では、「褥瘡予防・管理ガイドライン」を発行したことは前回もお話しましたが、今回はガイドラインの中から『体位変換』の項目をご紹介します。
ガイドラインは、臨床で生じた疑問に対して迷った時の指針ですので、ガイドラインの内容を守っていれば褥瘡の発生が必ずしもなくなるわけではありませんが、疑問が生じたときに立ち返って検討することができる材料となりますので、内容の理解をしていきましょう。
表 褥瘡予防・管理ガイドライン