第6回 スキンケア(湿潤への対応)
- 公開日: 2009/8/20
ベット上で過ごされる方は発汗や失禁などが原因となり、皮膚のトラブルが起きやすい時期ともいえます。
特に高齢者の皮膚は加齢に伴い、水分保持能力や皮脂分泌機能が低下することで、外からの刺激やアレルゲンの侵入を保護するバリア機能が破綻しやすい状況です。また、皮膚の細胞分裂能の低下や細胞数の減少で、表皮が菲薄化することなどで皮膚障害が発生しやすい状態となっています。さらに、皮膚が脆弱になったところに圧迫・摩擦・ずれなどの外力が加わると、褥瘡発生のリスクが高くなります。
今回は、褥瘡予防に必要なスキンケアについて考えていきたいと思います。
湿潤による皮膚の変化
正常な皮膚の細胞は、レンガのように整列して、外部からの刺激物や水分を侵入させない役割をもっています。しかし、汗をかいたり失禁したりして、長い時間、皮膚に過剰な水分が付着したままだと、角質細胞が水分を吸収して膨潤して、細胞同士を密着させている構造が崩れます。その結果、皮膚の耐久性やバリア機能が弱くなって、表皮剥離が起きたり異物や微生物の侵入が起きたりしやすくなるのです。
臀部のスキンケア
失禁後のおむつ交換時には、皮膚のpHと同じ弱酸性の洗浄剤をよく泡立てたもので洗い、排泄物を除去します。その後、ぬるま湯を用いて擦らないように洗い流します。あまり頻回に洗浄をしすぎると、皮脂膜を取り去ってしまいますので便失禁などの場合には、オリーブオイルなどオイルで便を取り去るケアも有効です。
常時失禁がある場合は、皮膚に浸軟が起きやすくなりますので、スキンケア製品を使用して浸軟を予防します。尿失禁が頻回な場合は、はっ水性があり、なおかつ保湿効果もある皮膚保護クリームを使用します。(セキューラRDC(スミス・アンド・ネフューウンドマネジメント(株))リモイスRバリア(アルケア(株))) 便失禁を伴う場合は、ワセリン基材(セキューラRPO(スミス・アンド・ネフューウンドマネジメント(株)))のものやオイルベース、皮膚に保護膜を作る(リモイスRコート(アルケア(株))ものまで様々な製品がありますので活用してください。