著者に聞く! 『平手先生のモニター心電図講座』誕生秘話(前編)
- 公開日: 2013/12/12
多くの看護師が苦手とする「心電図モニター」。18年間でおよそ5万人のコメディカルに心電図の読み方を教えてきたという平手裕市先生が、その講義のエッセンスを詰め込んだ著書『平手先生のモニター心電図講座』が刊行されました。どんなエッセンスが入っているのかお聞きしました。
Q1 心電図モニターの講習会を始められたきっかけは?
平手:30年ほど前のある朝、病棟に足を運んだときのことです。夜勤の看護師から「昨夜、なんか変わった波形が出ていたんです」とモニター心電図の記録を見せられました。なんとそれは心室頻拍の波形。そのときは自然に正常に戻った後で、大事に至りませんでしたが、看護師も変だとは思ったもののドクターを呼んではおらず、死に至る危険性もあった…と、ひやりとしました。
このときはじめて「皆が心電図を読めないといけないな」と強く感じたのです。
Q2 講習会は、どのような形で広がっていきましたか?
平手:最初は、心臓外科病棟の勉強会としてスタートしました。2~3年で、対象が病院全体の看護師とコ・メディカルスタッフに広がりました。また、参加者の中に臨床工学技士がいて、評判が愛知県臨床工学技士会の教育担当理事にも伝わったことをきっかけに、県の臨床工学技士会が主催で「だれもにでも良く分かる心電図講習会」が始まったのです。
その後、静岡、東京へと広がり、すでに23都道府県で開催しました。現在は年15回のペースで開いています。
Q3 講習会の受講生を見て、どんなことを感じますか?
平手:現場の看護師にとって、モニター心電図は、生体情報として不可欠です。そのため他職種に比べて、「読めないと大変だ」という意識が高く、非常に熱心です。反応もよくて、教えていて手応えを感じますよ。
Q4 講習会からは、何を学び取ってほしいですか?
平手:モニター心電図を有効に活用し、状態の悪化を未然に防いだり、急変に迅速に対応できるようになってほしいと思っています。実際、苦手意識の強い人は多く、「モニター心電図を見ないようにしている」という話を聞くほどです。
しかし心電図モニタリングは、患者さんに痛みや負荷をかけずに、心臓の状態を正しく伝えてくれるとても有用な手段です。自信をもって活用していけるようになって欲しいですね。
Q5 著書『平手先生のモニター心電図講座』を発行した理由は?
平手:この本は、もともと「ナース専科マガジン」で連載していた原稿をまとめたものなのです。連載を執筆していた当時から、私の講習会に足を運べない人の参考書にもなるし、講習を受けた人ならこれを見直して再確認できる。そう考えて、書籍化を意識していました。
Q6 著書の発行にあたって、大変だったことは何ですか?
平手:書籍化にあたって、雑誌連載時の内容を最新情報に改訂するなど、かなり大きく手を入れ、納得いくまで何度も見直して訂正しました。本当にギリギリまで書き直しました。並行して、この本の特典ともいえる「モニター心電図講習会のWEBセミナー」というEラーニングの制作も行いました。
当然ながら臨床での仕事もあり、おかげでその半年間はオフをすべて返上しましたので、家族からは私の体調を気づかい「二度と引き受けないように」と言われましたね(笑)。
※次回は、本書の特徴と、初の試み「心電図WEBセミナー」について、平手先生にお聞きします!