肺炎の合併症に対する観察ポイント
- 公開日: 2014/1/7
日本呼吸器学会の成人市中肺炎診断ガイドラインでは、まず非定形肺炎と細菌性肺炎に鑑別してから、治療にあたる方法を採っています。
ここでは、市中肺炎で第一の標的となる細菌性肺炎を中心に、鑑別による治療薬の選択も含めて、そのケアのポイントをピックアップしていきます。
肺炎の主な合併症
肺炎は、さまざまな合併症を引き起こすことがあります。特に気をつけたい合併症は、
・菌血症、敗血症
・ALI(急性肺損傷)/ ARDS(急性呼吸促迫症候群)
・胸膜炎
です。
菌血症・敗血症は全身感染症なので、全身管理が必要となります。
また、ALI / ARDSでは、急性呼吸不全と称されることからわかるように、呼吸不全を起こすので、人工呼吸器での管理が必要となります。さらに胸膜炎では、胸痛を引き起こす他の疾患との鑑別が必要です。
特に敗血症は急速に症状が進行します。一般的に院内での敗血症の予防策は、患者さんが何らかの菌に感染しないように、標準予防策を徹底して行うことです。しかし、肺炎の患者さんの場合、すでに菌に感染しているため、敗血症を早期に発見するためには、ベッドサイドにいる時間が長い看護師が全身状態を注意深く観察することが求められます。
敗血症は初期と次の段階では、血圧や四肢の体感温度などに違いがみられます。早期発見のためには、熱や皮膚の様子などをこまめに観察することが肝心です。特に体温、血圧、脈、呼吸、意識レベルなど、通常のケアで十分観察可能なバイタルサインに関しては、ルーチンのチェックだけではなく、常に注意を払う必要があるでしょう。
また、感染源が体内を回る道となるカテーテル類は、すべて新しいものに取り替えます。他にも発症するとチューブ、ドレーンなど数多くのラインが挿入されることになるので、ラインの整理を怠らないようにしましょう。