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【連載】呼吸器3大疾患のケア

肺炎の合併症に対する観察ポイント

  • 公開日: 2014/1/7
  • 更新日: 2020/10/22

日本呼吸器学会の成人市中肺炎診断ガイドラインでは、まず非定形肺炎と細菌性肺炎に鑑別してから、治療にあたる方法を採っています。

ここでは、市中肺炎で第一の標的となる細菌性肺炎を中心に、鑑別による治療薬の選択も含めて、そのケアのポイントをピックアップしていきます。


肺炎の主な合併症

肺炎は、さまざまな合併症を引き起こすことがあります。特に気をつけたい合併症は、

・菌血症、敗血症
・ALI(急性肺損傷)/ ARDS(急性呼吸促迫症候群)
・胸膜炎

です。

菌血症・敗血症は全身感染症なので、全身管理が必要となります。
また、ALI / ARDSでは、急性呼吸不全と称されることからわかるように、呼吸不全を起こすので、人工呼吸器での管理が必要となります。さらに胸膜炎では、胸痛を引き起こす他の疾患との鑑別が必要です。

特に敗血症は急速に症状が進行します。一般的に院内での敗血症の予防策は、患者さんが何らかの菌に感染しないように、標準予防策を徹底して行うことです。しかし、肺炎の患者さんの場合、すでに菌に感染しているため、敗血症を早期に発見するためには、ベッドサイドにいる時間が長い看護師が全身状態を注意深く観察することが求められます。

敗血症は初期と次の段階では、血圧や四肢の体感温度などに違いがみられます。早期発見のためには、熱や皮膚の様子などをこまめに観察することが肝心です。特に体温、血圧、脈、呼吸、意識レベルなど、通常のケアで十分観察可能なバイタルサインに関しては、ルーチンのチェックだけではなく、常に注意を払う必要があるでしょう。

また、感染源が体内を回る道となるカテーテル類は、すべて新しいものに取り替えます。他にも発症するとチューブ、ドレーンなど数多くのラインが挿入されることになるので、ラインの整理を怠らないようにしましょう。

重篤な肺炎で気をつけたい合併症

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菌血症・敗血症

 1. 肺炎が進行し、菌が肺胞の外に出て血管に入り込み、血液内に存在する状態を菌血症という
 2. 菌血症には、無症状のものからショック症状を呈するものまで程度がさまざまあり、このうち重症のものを敗血症と呼ぶ
 3. 敗血症は、血中に菌が入り込み増殖した状態で、全身が感染源に曝される
 4. 主な症状として、初期には血圧の軽度の低下、四肢の温感、皮膚の乾燥、発熱・悪寒、頻脈、頻呼吸などがみられる
 5. 症状が進むと急激な血圧低下、四肢の冷感、チアノーゼ、皮膚の湿潤、意識レベルの低下などが出現し、さらには呼吸不全(ARDS)や多臓器不全に陥り、死に至る可能性も出てくる

ALI:急性肺損傷/ARDS:急性呼吸促迫症候群

 1. ALIとARDSはまとめて急性呼吸不全といわれる
 2. 酸素化障害の程度によって区別され、ALIが進行した状態がARDSである
 3. 間接的な誘引として敗血症もその1つで、互いが互いを誘発する要因となっている
 4. 白血球の一種である好中球が何らかの要因で肺に集積し、毛細血管内皮細胞に付着して細胞を破壊。好中球が間質や肺胞内に遊走し、肺水腫を引き起こす
 5. 肺水腫によって肺内シャント(換気血流比が正常値に満たない部位)が増加し、結果として低酸素血症を呈する
 6. 気管内挿管による人工呼吸管理が一般的だが、喀痰の多くない患者さんはNPPVで管理することもある

胸膜炎

 1. 胸膜腔に炎症が生じる病気。肺炎の感染源である細菌が原因となり、発症する
 2. 自覚症状は、深呼吸や咳をしたときの胸痛。発熱も伴うが、痰は多くない。胸水が増えてくると、呼吸困難も生じるようになる
 3. 聴打診、胸部X線写真などにより胸水があることがわかったら、これを採取し、比重や蛋白濃度、白血球分類検査を行う
 4. 好中球の増加が認められれば、細菌感染が疑われるため、細菌の確定診断へと進む。起炎菌の確定前は広域抗菌薬、確定後は狭域の抗菌薬に切り替える

(『ナース専科マガジン』2012年12月増刊号「一冊まるごと呼吸ケア」より転載)

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