第4回 【がん】治療中~経過観察期のストレス
- 公開日: 2012/4/19
体力が回復してからも、再発・転移の不安が続く時期。不安を抱え込まないための言葉かけや情報提供を行っていくことが大切です。
治療中~経過観察期
患者さんの身体と心
入院しての手術や化学療法などの初期治療から、退院後の通院治療へと、患者さんの生活は大きく変わっていきます。入院中あるいは外来治療中は、疾患そのものに由来する苦痛よりも、術後の体力低下や、化学療法後の嘔吐や倦怠感など、治療の後遺症・副作用に苦痛を感じることは少なくありません。
治療により回復傾向にある場合は、当初の不安や恐怖は軽減されていきます。しかし、ボディイメージが変容したり、機能障害を伴ったりするケースでは、大きなストレスを抱えることになります。
また、がん患者に対する周囲の視線や、がんを患ったことによる社会的役割の変化に戸惑いや葛藤を感じる時期です。
職場や隣人などの人間関係に対してだけでなく、家族に対しても、「家事や仕事が思うようにできずに家族に負担をかけてしまっている」などという思いから、疎外感を覚えることがあります。
急性期から慢性期に移行し、身体症状が改善され、受診頻度が減っていくと、それにしたがって、気持ちも明るく前向きになると考えられがちです。しかし、経過観察期には再発・転移に対する不安や恐れが常につきまといます。
たとえ、定期検査で「異常なし」という結果が出ていても、結果はあくまでもその時点のもので、その後の健康は保証されません。
がん患者さんは、自分の未来の健康や生命が「不確かである」不安に、耐え続けなければなりません。特に、再発リスクが高いとされる5年間の不安は、大きなものとなります。