「陰圧閉鎖療法」で押さえておきたい看護のポイント5つ
- 公開日: 2015/4/29
褥瘡治療の一つである「陰圧閉鎖療法」を取り上げ、看護のポイントをわかりやすく解説します。
KCI社の機器を使用して行うものを特にVAC(バック)療法といいます。
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陰圧閉鎖療法とは?
創にカテーテルを留置してドレッシング材で密閉し、低圧で滲出液を吸引し続ける方法です。
特徴
- ● ドレッシング材の頻繁な交換が必要な創(ポケットがある/滲出液が多い)に適している
- ● ドレッシング材の交換頻度が減り、患者さんの苦痛軽減や看護の省力化が期待できる
- ● 吸引の圧管理など新たなケアが必要になる
陰圧閉鎖療法中のケアのポイント
1:2~3日ごとにドレッシング材の交換と洗浄を行う
創部の適切な湿潤環境を保てるよう、滲出液が辺縁から1cm程度染みてきたのを目安に、2~3日に1回交換します。
交換する際は、必ず創と周囲の皮膚を洗浄し、創の観察と評価を行います。
2:適正な吸引圧が保たれているか確認する
褥瘡予防・管理ガイドラインによると、適正な吸引圧は120~140mmHgです。
また、適正な吸引圧が維持できているかを随時チェックすることが必要です。
特に体位変換後は、カテーテル抜去などのトラブルが起こりやすいので注意します。
陰圧がかかり、創が密閉状態になっていると、ドレッシング材が密着するため、創の形が見てわかるようになります。
3:カテーテルによる二次褥瘡ができないように、カテーテルの固定と体位変換を適切に行う
吸引のためのカテーテルが皮膚を圧迫し、新たな褥瘡を作ってしまっては本末転倒です。
カテーテルを固定する位置や体位を工夫し、その人にとって最適なポジショニングを探すことが重要です。
その際、体位を保持するためのクッションの端でカテーテルを押してしまったり、皮膚を圧迫したりすることのないよう注意します。
4:統一されたケアを行えるように病棟で情報を共有する
病棟の看護師全員が同じケアを行うことができるように、マニュアルを作ったり、患者さんに承諾を得て体位の写真をベッドサイドに掲示したりするとよいでしょう。
(『ナース専科マガジン』2010年6月号より改変利用)
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