褥瘡発生予防のスキンケアと発生時の対応【PR】
- 公開日: 2021/12/22
褥瘡を発生させないためには、体圧分散やスキンケア、栄養状態の保持などが重要です。褥瘡の発生を予防するためのケアと、褥瘡ができてしまった際のケアに分けて、スキンケアを中心に解説します。
褥瘡を発生させないために必要なスキンケアとは
褥瘡を発生させないためのスキンケアは、皮膚バリア機能を保つことに他なりません。そのためには、清潔の保持、外力の排除、栄養状態の保持、皮膚の浸軟・乾燥予防、浮腫の予防と保護が重要になってきます。
清潔の保持
弱酸性の洗浄剤による泡洗浄(1日1回)などの適切な洗浄、保湿、保護を行い、皮膚を清潔な状態に保ちます。
外力の排除
褥瘡の発生原因である圧迫と摩擦とズレを回避します。
<圧迫>おむつの使用やマットレスが圧迫の原因となることもあり、適切なおむつ装着や交換頻度、体圧分散寝具などの選択が大切です。特に自身で除圧行動ができない患者さんに対しては、十分に除圧のケアを行いましょう。
<摩擦>不快感から身体を擦ったり、動かしたりすることでも摩擦が生じます。不快感の原因には蒸れやかゆみ、おむつの圧迫感、排泄物の付着などがあり、原因を確認し不快感を解消するためのケアが必要です。
<ズレ>ズレが生じやすいのは、ヘッドアップや苦痛を感じる姿勢から回避しようとするときです。体力や筋力が低下していて、自身で姿勢が整えられない患者さんには、姿勢調整を行いましょう。
また、関節可動域訓練などのリハビリテーションで関節周囲が動くことにより、ズレが生じる場合もあります。すでに褥瘡が生じている、もしくはリスクが高い部位については、リハビリテーションスタッフと情報を共有することが大切です。
栄養状態の保持
低栄養の状態では、褥瘡予防のケアを行っても褥瘡の発生を防ぐことができないケースもあります。栄養状態をアセスメントし、低栄養を予防、改善します。
皮膚の浸軟予防
排泄コントロールを行い、水様便や尿失禁を予防します。また、発汗によるおむつや衣服、寝具内の蒸れにも注意し、通気性を保つようにします。
皮膚の乾燥予防
褥瘡の好発部位として踵や仙骨部、後頭部が挙げられます。特に踵は乾燥しやすいため、モイスチャーライザー成分が配合されている保湿剤で保湿を行うようにします。
浮腫の予防と保護
浮腫によってもバリア機能が低下します。浮腫は栄養状態の低下(特にアルブミンの不足)、麻痺、下肢の筋力低下などで起こります。原因に対するケアを行うとともに、愛護的な洗浄や保湿、皮膚皮膜剤や衣服による保護を行います。
褥瘡が発生してしまった際のスキンケア
まずは褥瘡を拡大させないこと、そして周囲の健常皮膚の生理機能を保つこと、この2つを同時進行しなければなりません。
褥瘡に対しては、ブレーデンスケールやOHスケールなどを用いてリスクアセスメントを行います。そして、なぜ褥瘡ができたのか原因を同定し、その排除に努め、悪化と再発を防ぎます。
スキンケアとしては、創内は湿潤環境を保ち治癒の促進を図るとともに、周囲の健常皮膚の浸軟を予防して褥瘡の拡大を抑えることが大切です。
周囲皮膚のスキンケア
<清潔の保持>周囲皮膚の細菌は創内に影響を及ぼすため、通常のスキンケアと同様に、泡洗浄により摩擦刺激を与えないようにして清潔を保つようにします。
<保護>創周囲が創の浸出液により浸軟すると、組織の耐久性が低下するため、少しの圧迫やズレでも褥瘡が拡大しやすくなります。周囲の皮膚には、ドレッシング材(創傷被覆材)の粘着剤による表皮剥離(二次損傷)が起こることがあります。さらに創に塗布した軟膏成分が、健常皮膚に色素沈着(スルファジアジン銀クリーム、ヨウ素含有軟膏など)や組織損傷(ブロメライン軟膏など)をもたらす場合もあります。
ドレッシング材の交換時や軟膏を塗布する前には、皮膜剤や撥水性のある油性のクリームやオイル、皮膚被膜剤を用いて範囲の皮膚を保護するとよいでしょう。軟膏は創内に限って塗布するようにしても、摩擦やずれで周囲に広がってしまうため、あらかじめ撥水性をもたせておいたほうが、周囲の皮膚を健康に保つことができます。
また、ドレッシング材を固定するテープによる刺激にも注意し、テープの種類、固定方法などを検討します。
在宅療養中の患者さんのスキンケアと観察ポイント
在宅では、家族をはじめとしたケア提供者の介護レベルが、スキンケアに大きく影響します。介護レベルはさまざまな要素を総合して判断されます。医療者側は、あらかじめケア提供者の介護レベルを把握し、レベルに応じた援助を行うことが重要です。
介護レベルを判断する要素 |
●マンパワー |
●認知度 |
●資材の使用 |
●経済力 |
●思いや希望 |
●サービス利用状況 |
最もケアに影響するのはマンパワー、つまりケア介入の人数と知識、技術レベルです。訪問看護を受けている方と訪問介護だけの方、老老介護の方では、ケアのレベルが大きく変わってきます。
さらに認知機能がどのくらいあるのかも、押さえておく必要があります。老老介護の人たちにベストのケアを求めても難しいことがあります。創傷ケアに必要な資材やおむつなどを購入できる経済力や活動性があるのかも確認しておきます。また、ケア提供者がどのようにケアをしていきたいと考えているのか、希望はあるのかを聞いておくことも大切です。
医療者側はベストなケア方法を指導しがちですが、患者さんの認知度やセルフケア能力、家族の知識や技術といった介護力などを確認しながら、継続可能なケアを伝えていくようにしましょう。さらに、病院の看護師と訪問看護師、介護士が連携し情報を共有していくことも大切です。
観察のポイント
褥瘡の早期サインは言うまでもなく「持続する発赤」ですが、患者さんや家族がそのサインを確認するのは困難です。表皮剥離、組織欠損、痛み・かゆみなど、褥瘡やスキントラブルの徴候があれば、受診をするように伝えます。その場合、医療施設の連絡先や受診方法、交通手段など、細かな情報も合わせて伝え、受診しやすい環境を整えましょう。
患者さんが家族や訪問看護師による観察を拒否する場合、代替手段として下着や衣類、寝具などに血液や浸出液が付着していないかをみることも、確認方法として活用できます。
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