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【連載】ケース別スキンケアの基本を学ぼう

スキン-テア(皮膚裂傷)のスキンケア|予防と発生後のケア【PR】

  • 公開日: 2022/1/11
  • # 注目ピックアップ
  • # スキンテア

高齢者のスキントラブルとして注意したいことの1つにスキン-テアがあります。予防のためにはどのようなケアが有効なのか、発生してしまった場合はどのようにすればよいのかを解説します。

スキン-テアとは

 日本創傷・オストミー・失禁管理学会では、スキン-テア(skin tear:皮膚裂傷)を「摩擦・ずれによって、皮膚が裂けて生じる真皮深層までの損傷(部分層損傷)」と定義しています1)

 スキン-テアはベッド柵に足をぶつける、テープを剥がすなどの物理的な外力によって起こるもので、持続する圧迫やずれで生じる褥瘡や医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)とは異なります。

 スキン-テアの分類には、「STARスキンテア分類システム」(表1)があります。これは創の状態を組織の欠損、血腫や斑状出血の有無などの特徴により5つに分類したもので、スタッフ間や他の施設とも共有できる評価ですから、活用することをお勧めします。

表1 STARスキンテア分類システム
カテゴリー1a
カテゴリー1b
カテゴリー2a カテゴリー2b
カテゴリー3
創縁を(過度に伸展させることなく)正常な解剖学的位置に戻すことができ、皮膚または皮弁の色が蒼白でない、薄黒くない、または黒ずんでいないスキンテア
創縁を(過度に伸展させることなく)正常に解剖学的位置に戻すことができ、皮膚または皮弁の色が、蒼白、薄黒い、または黒ずんでいるスキンテア
創縁を正常な解剖学的位置に戻すことができず、皮膚または皮弁の色が蒼白でない、薄黒くない、または黒ずんでいないスキンテア
創縁を正常な解剖学的位置に戻すことができず、皮膚または皮弁の色が蒼白、薄黒い、または黒ずんでいるスキンテア
皮弁が完全に欠損しているスキンテア
日本創傷・オストミー・失禁管理学会編:ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理.照林社,2015,p.7より引用

スキンテアを起こしやすい皮膚とは?

 スキン-テアは年齢を問わず生じますが、多くは加齢や疾患、それに伴う治療などの影響を受け、皮膚が脆弱化した高齢者にみられます(「高齢者のスキンケア」参照)。

 特にドライスキンで皺が多く薄い皮膚(ティッシュペーパー様皮膚)や紫斑(皮下出血)がある人は、スキン-テアのリスクが高くなります。また浮腫がある人も、皮膚が引き伸ばされ菲薄化しているため注意が必要です。

予防のためのスキンケア

 スキン-テアを起こしてしまうと、治癒までに時間がかかり、痛みによる患者さんの負荷、ケアを行う医療者や介護者の負担も大きくなるため、予防が大切です。

 予防には、スキン-テアのリスクの程度にかかわらず、スキンケアの基本である洗浄・保湿・保護が重要です(「高齢者のスキンケア」参照)。ただし、皮膚に摩擦やずれが生じないように十分に配慮し、愛護的にスキンケアを行うことが必要です。

 

身体の支持

 脆弱な皮膚では介助者が身体を支持しただけでもスキン-テアが起こることがあります。身体を支持するときには、つかまず、下から支えるように保持します(図1)。その際に手を開くと、指の圧力が局所的にかかってしまうので、手を閉じて大きな面で支えます。

図1 支持の方法
スキン-テアのリスクのある患者さんの腕の支持

 スキンケアのなかでも特に大切なのが保湿です。乾燥や皮膚の弾力性が改善されると、スキン-テアが生じるリスクは低減します。

 低刺激性のローションなど伸びのよい保湿剤で、1日2回以上、保湿を行うとよいでしょう。

外力からの保護

 皮膚被膜剤を活用し、テープの粘着剤や排泄物から皮膚を保護します。また、テープを剥がすときは、剥離刺激による損傷が生じやすいため、アルコールを含有していない剥離剤を塗布しながら、ゆっくりとテープを剥がすようにします。

 室温が調整できる場合、夏場でも長袖の衣服を着用して皮膚を保護することを勧めます。外傷を防ぐだけではなく、保湿剤の蒸発も防ぐことができます。アームカバーやレッグカバーで足や腕を保護するのも有用です。包帯は巻き方によって皮膚損傷やすぐに取れてしまうという状況になるため、お勧めはできません。

 また、衣服による摩擦からの保護も大切です。袖口がゆったりとした柔らかな素材のものを着用し、靴下もゴムがゆるめのものを履くことを指導するとよいでしょう。

スキン-テアが生じた際のスキンケア

 スキン-テアが生じた場合、ドレッシング材(創傷被覆材)を貼付し、治癒の促進を図るとともに新たな損傷を防ぎます。また、創と周囲の皮膚を清潔に保ち感染を防ぐために、洗浄も重要です。

 ただし、急性期の創では強い痛みがあるため、患者さんの痛みにも配慮しましょう。

ドレッシング材の貼付

 皮弁が残っている場合、皮弁で創を覆うことにより、創治癒が促進されるため、剥がさずに攝子で皮弁を元の位置に戻してからドレッシング材を貼付します(図2)。

図2 スキン-テアのケア
スキン-テアの例

 ドレッシング材は、シリコーンゲルメッシュドレッシング、多孔性シリコーンゲルシート、ポリウレタンフォーム/ソフトシリコーンなど、剥がすときに負担の少ない非固着性のものを選択します。当院ではクッション性がよく、剥がすときに痛みが少ないソフトシリコーンのドレッシング材を用いることが多いです。

 重要なポイントは、貼付後、剥がすときに皮弁がめくれないように、剥離の方向を矢印でドレッシング材に記しておくことです(図3)。さらに、貼付している間に皮弁がずれないように、ドレッシング材を筒状包帯などで固定します。

図3 ドレッシング材への記載
スキン-テアのドレッシング材の記載例

 もしドレッシング材がずれてしまったら、創の状態を確認し、皮弁がめくれている場合は元に戻してからドレッシング材を貼付し直します。

ドレッシング材の交換

 滲出液がドレッシング材の外縁1cmまで拡大してきたら、交換の目安といわれています。ドレッシング材を剥がすときは、新たなスキン-テアを発生させないように剥離剤を用います。

 創の状態を確認し、洗浄したのちに新しいドレッシング材を貼付します。その際は、特に感染徴候(熱感、腫脹、発赤、疼痛)に注意しましょう。

洗浄

 皮膚欠損が広範囲に残っている段階では、痛みを感じやすいので、創の部分は生理食塩水でやさしく洗い流します。

 ある程度皮弁が固着してきたら、弱酸性の洗浄剤の泡をのせて泡でなでるようにさっと洗い、微温湯で流すようにします。

 創の周りの皮膚は、損傷によりさらに脆弱になっているため、皮膚を保護するために非アルコール性の皮膚被膜剤を塗布します。

在宅で気をつけること

 スキン-テアが生じた場合、在宅で特に注意したいのは感染です。スキンケアの際には、清潔な水や用具、タオルなどを用いるようにしましょう。

 感染徴候がみられた場合、ドレッシング材などによる密閉したケアは中止します。非固着性のガーゼで保護し、速やかに医師の診察につなげます。

引用文献

1)日本創傷・オストミー・失禁管理学会編:ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理.照林社,2015,p.6.




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