<オンラインセミナー>訪問看護で必要なスキンケアの知識とケアの実践【PR】
- 公開日: 2022/5/16
訪問看護の現場である在宅では、病院とは異なり限られた物品でケアを行います。今回のオンラインセミナーでは、訪問看護で求められる在宅療養者のスキンケアの基本に触れ、具体的なスキンケアの方法、さらに在宅スキンケアに必要なことについて、詳しく紹介していただきました。その模様をレポートします。
在宅療養者のスキンケアの基本
基本的なスキンケアには、大きく分けて予防的スキンケアと治療的スキンケアがあります(表1)。このうち今回は予防的ケア、つまり皮膚の健康を維持・増進させることを目的とするスキンケアを中心に解説します。皮膚の生理機能を保持するスキンケアは洗浄、保湿、保護の3ステップで行います。皮膚を清潔に保ち、バリア機能を維持し、物理的・機械的・化学的刺激要因を除去します。スキンケアは皮膚だけでなく心身の健康にも直結する大切なケアなのです。
予防的スキンケア |
皮膚の健康を維持・増進させることを目的とするスキンケア |
治療的スキンケア |
皮膚の健康が損なわれたときに行われ、皮膚の健康を取り戻し、損傷した皮膚の治療を促進する(傷のケアを含めた)スキンケア |
洗浄の際には表皮の汚れを洗浄剤の泡で包み込んで除去します。泡はキメが細かいほど汚れを吸着する力が強く、毛穴やシワにも入り込めます。擦ると角質が剥がれてバリア機能が低下するため、泡でやさしく洗うようにします。洗浄剤にはさまざまな種類があるので、患者さんや家族と相談し、目的にあった使いやすいものを選びましょう。
洗浄で皮脂膜が取り除かれるため、洗浄後はしっかり保湿します。保湿剤の種類も豊富にありますので、患者さんや家族、時には主治医とも相談しながら選択します。手頃な価格のものでもよいので、毎日しっかり塗ることが大切です。保湿剤はチューブから人差し指の第1関節分出した量(1FTU=約0.5g)を手のひら2枚分の広さに塗るのが基本です。入浴後15分以内に塗るのが効果的で、その他にも乾燥しているときは随時塗るとよいでしょう。
皮膚被膜剤や撥水性皮膚保護剤などの保護剤には、皮膚の潤いを保ち、排泄物などの刺激物や感染源などとの接触を避け、物理的・化学的刺激を緩衝させることで、スキントラブルを少なくする効果があります。
洗浄 |
・洗浄剤は種類がたくさんあるため、購入希望がある場合は、用途や価格、どこで購入できるのかを伝える ・どの洗浄剤を使用するのがよいかではなく、泡を用いてやさしく洗うことが基本であることを伝える |
保湿 |
・軟膏、クリーム、ローション、フォーム、スプレーとさまざまな剤形がある。患者さん・家族の使いやすさ、手に入りやすさ、価格なども考慮して選ぶ ・保湿剤を塗布する際は、温かい手で、皮溝に沿って、こすらず皮膚に保湿剤を押し込んでいくような感じで、丁寧に行う ・背中は縦ではなく、横に塗るとよい |
在宅でのスキンケア実施のポイント
ドライスキン
高齢になると皮脂の分泌が減り、角質の水分保持力が低下してドライスキンになると、バリア機能が低下してアレルゲンや異物が入りやすく、細菌感染を起こしやすい状態になります。また弾力性が低下して皮膚が薄くなり、少しの刺激でも傷つきやすく、かつ治りにくくなっています。後述するスキン-テアが起こりやすいのも高齢者の特徴です。
ドライスキンに対しては清潔の保持と皮膚の保護、外傷の予防が重要です。洗浄や保湿、保護の基本は同じですが、洗浄や入浴の際の湯温は熱すぎないようにし、硫黄や岩塩含有の刺激の強い入浴剤は避けます。外傷予防のため爪を整え、靴下を履くなど皮膚の露出を減らします。かゆみが強いときは主治医にも相談して保湿剤やかゆみ止めの処方も検討します。なかなかかゆみがとれない肝臓がん終末期の患者さんに、薬剤師からの提案でステロイド剤に少量のハッカ油を混ぜたものを使ったところ、清涼感もありとても効果的でした。在宅では多職種の連携が重要だと再認識したケースでした。
おむつ装着時
おむつを使用している場合は、おむつかぶれや尿路感染症などの予防が重要です。患者さん家族には皮膚の清潔、保湿、保護に努め、観察を忘れないよう説明し、異常がみられたら速やかに医療機関につなげられるよう支援します。おむつは汚れたら交換するのが理想ですが、在宅では難しいこともあると知っておきましょう。おむつへの排泄は人の自尊心にかかわることです。おむつが必要か否かを再確認しつつ、適切なおむつ類の選択や当て方なども十分に配慮します。
在宅では、生活空間で排泄ケアを行うので、物品の準備(蓋付きのゴミ箱など)や配置、おむつ交換の回数等について家族とともに模索します。また陰部洗浄は欠かせませんが、家族にとっては慣れないケアなので、物品の準備や手順など、わかりやすく丁寧に説明します。
失禁関連皮膚炎(IAD)
失禁があると排泄物の接触によって失禁関連皮膚炎(IAD)が起こることがあります。ケアの基本は清拭・洗浄と保湿で、ポイントは洗いすぎず、擦らないことです。また排泄物が皮膚に接触しないように保湿剤や保護剤をしっかり塗り、ポリエステル綿なども活用します。びらんがひどい場合はストーマ用の粉状皮膚保護剤が改善に役立ちます。便の性状の調節も重要で、必要があれば主治医に相談しましょう。またIADが治らない場合、感染の徴候がある場合などは速やかに主治医や皮膚科医に相談します。
スキン-テア
摩擦やずれによって皮膚が裂けて生じる真皮深層までの損傷(スキン-テア)もよくみられます。スキン-テアは、持続する圧迫やずれで生じる褥瘡や、失禁にともなうIADとは違います。スキン-テアは日々の何気ない動作やケアで発生するので、医療者はもとより患者さん・家族にもケアの知識や技術の習得が求められます。スキン-テアのケアについては、日本創傷・オストミー・失禁管理学会が家族や介護者向けに作成した『弱くなった皮膚を守るためのしおり』をぜひ参考にしてください。体位変換の際は身体を引っ張ったり掴んだりせず下からそっと支える、ベッド柵などに緩衝材をつける、長袖・長ズボン、アームカバーなどで皮膚を保護する、その他にも医療用テープを使う場合の注意など、詳しく掲載されています。
ケアに使う物品はできるだけ家庭にあるものを活用し、購入してもらう場合は負担が少ないよう配慮して、選び方や用途、価格、入手方法なども具体的に伝えることが重要です。
在宅療養では多職種による連携が不可欠です。職種間のケアの違いや間違ったケアの習慣化などがスキントラブルの悪化につながることがないように、情報を共有しタイムリーな対応を心がけることが大切です。
敏感肌にも使えるミノンシリーズ
ミノン全身シャンプー泡タイプ
顔、身体、頭が一本で洗える泡タイプの全身シャンプー。バリア機能を守って洗う「植物性アミノ酸系洗浄成分」配合。弱酸性、無香料。
[医薬部外品]販売名:ミノン全身シャンプーW
500mL、400mL(つめかえ用)
ミノン全身保湿ミルク
ミノン全身保湿クリーム
敏感肌、バリア機能が乱れやすい肌を支える全身に使える「塗るミノン」。広い範囲のケアにはべたつかないミルクタイプ、乾燥のつらい部位にぴたっと密着感のあるクリームタイプ。
[医薬部外品]販売名:DSミルクz・DSクリームz
200mL、400mL(ミルク)、90g(クリーム)
詳しい製品内容についてはこちら → https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon/
がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ
薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。