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【連載】やってみよう! フットケア

第3回 <足浴>フットケアの実践

  • 公開日: 2017/11/1

今回からフットケアの実践を一緒に考えていきたいと思います。


【前回までの記事】
* 第1回 自分の足、見てますか? フットケアで思い浮べることって?
* 第2回 足の観察と評価の仕方を知っておこう!


まずは看護の基本であり、足の観察をするのに必要なテクニックでもある足浴についてです。

 足浴はご存じの通り、入浴することができない患者さんに行う看護ケアの一つです。
昔から世界でも健康のために、また治療として足を洗ったり、マッサージをしたりしていたようですが、日本では履物を脱いで座敷に上がる生活様式であり、足を洗ってきれいにする習慣が根付いています。
足を洗うとさっぱりするという感覚は共通していると思います。
足浴は医療、看護の現場から一般に伝わったともいわれ先輩方の素敵な歴史だといえます。

 現在では、足浴もいろいろな方法があり、選択肢が増えました。フットケアをするときに行う「足浴」を紹介したいと思います。

1、足浴とは?

 「足浴」は一般的に「足湯」として知られており、足湯をしているところを見るだけで「温かそう」とか「気持ちよさそう」と感じます。

 足浴の効果はさまざまな分野の研究者によって調査、実証されており、睡眠パターンや、自律神経などの調整に効果的であることが報告されています。
その中で、足浴は副交感神経系への効果により、リラクゼーション、睡眠、血液循環を促進する可能性があることが証明されています。

2、足浴の目的

 足浴には体を足から温めることやリラックスさせるなどさまざまな効果がありますが、フットケアを行う際の足浴としては、以下の目的で行います。

①足の汚れを落とす
 観察しやすくする、 清潔を保持する。
②皮膚や爪をやわらかくする
 爪切りを安全に行う。角質をとりやすくする。
③循環をよくする
 マッサージや運動の効果を促す。

3、足浴の種類

①一般的なお湯を使った足浴

 看護技術として一般的な足浴はバケツやフットバスにお湯を入れ足をつけるものですがお湯の温度や時間、お湯に入れるものなど目的に合わせ工夫されています。

お湯の温度

 一般的には38℃±2℃ですが、糖尿病や高齢などで温度感覚がにぶっている患者さんは皮膚の色調や浸軟状態を見ながらぬるめのお湯から始めて徐々に温めていきましょう。熱さの好みも考慮して心地よい足浴を提供します。

時間

 足浴の時間は5~10分ですが、目的により加減してください。

添加するもの

 目的によって、炭酸の入った入浴剤やアロマオイル等を使用する足浴もありますが、アレルギーや刺激による皮膚炎などを起こさないように観察をしながら行ってください。アロマセラピーに使用する精油はお湯には溶けないので原液が皮膚につかないよう注意して使用してください。(少量のアルコールで希釈するとお湯には溶けます。アルコールが使えないときは、ベースオイルで希釈して使用)

ポイント

 足を温める目的であれば、足浴しているバケツごとひざ下(できれば腰あたり)までバスタオル等で包めば効果的です。

②シャボンラッピング

 お湯で足浴も気持ちよいのですがフットケア時に簡単にできる足浴はないかと模索して考案しました。かたい、細かい泡を使用して、清潔、リラックス、マッサージ効果等の多目的で行うことができるシャボンラッピングを紹介します。

<準備物品>
 ・ビニール袋を固定する入れ物
(段ボール、かご等何でもよい、写真はフットバスを使用)
 ・ビニール袋 1枚(使用する部位に合わせて大きさを選択)
 ・ボディ用のネット(100円ショップ等で入手可能)
 ・ボディソープもしくは固形石鹸(弱酸性は泡が安定しないので一般のもので)
 ・お湯もしくは水(コップ1杯程度)
準備物品の写真

<作成手順>

・固定する入れ物にビニール袋をかぶせる。

・ボディ用のネットのひもをとり分解し、作成しなおす。

ボディ用のネットのひもをとり分解した写真
ボディ用のネットのひもをとり分解した写真②

・ビニール袋にボディソープ約10mLにお湯30mL程度を入れ、ネットでかき混ぜるように泡立てる。(お湯の温度は手がつけられる40℃前後)
※このときに石けん水が底に残らないように全て撹拌する。
泡がゆるいようならボディソープを追加しかたい泡を作成する。
固形石けんを使用するならお湯に石けんをころがして溶かしておき、更にネットに石けんをつけ濃い石けん液にして作成する。

・ビニールに下肢を入れる。

・しばらく泡が皮膚に密着するようにおき、ビニール袋の外から軽く押したり、引っ張ったりしてマッサージする。本人ができるなら手は握ったり開いたりしてもよい。

・時間は4、5分を目安に行う

・最後はビニールの口をすぼめ、皮膚に密着させ手先、足先へゆっくり抜く。

・お湯で洗い流す
(ビニール袋をはずすときにぬぐいとれていればお湯は少量でよい)
ホットタオルしかないときは数回、石鹸成分が残らないようにふき取る。
ボディソープが泡立っている写真

泡は洗浄効果と心地よさ(ホイップクリームのような感触)を感じることができる。

シャボンラッピングは泡の中で爪にやすりをかければ爪の粉が飛び散ることなくケアできます。自分の体、患者さんの身体にも優しいケアです。

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