悪心・嘔吐のアセスメント
- 公開日: 2017/12/13
STEP1 まずは、これを考えよう!
■嘔吐中枢からの命令で起こる悪心・嘔吐
「吐きそう」「むかむかする」「気持ちが悪い」。このような言葉で表現されることが多いのが「悪心」で、「吐き気」ともいいます。
これに対して、実際に吐き出してしまうのが「嘔吐」。胃、および十二指腸の胃に近い部分から、食べたものや水分、消化液などが、口から急激に吐き出される現象です。「吐いた」とか「戻した」という言葉で表現されることもあります。
寝ながら食べても、あるいは食べてすぐ逆立ちしても、胃袋に収まったものが口から飛び出したりしません。そういう仕組みがあるのに、どうして悪心や嘔吐が起こるのでしょうか? まずは、口から入ったものがたどる消化の道筋から考えてみましょう。
私たちが食べ物を口に入れると、咀嚼するところから消化活動が始まり、最終的に不要なものが尿や便として排泄されます。このルートでは、通常ならば逆流は起こりません。なぜなら、ゴックンと飲み込むとき、食道から胃に送られるとき、そして胃から腸へという具合に、食べ物が消化されながら次の器官へと送り届けられる際には、しっかりと連結部分が閉じられているからです。
ところが、何らかの原因で身体に異常事態が発生すると、それが刺激として脳の延髄にある嘔吐中枢に伝えられます。すると、嘔吐中枢から、胃、食道、横隔膜、そして腹部の筋肉に「吐け!」という命令が伝えられるのです。
命令を受けると、胃の出口である幽門が締まり、食道との連結部分であり胃の入り口ともいうべき噴門が開きます。そして、横隔膜や腹部の筋肉が収縮して、勢いよく胃の内容物が口元へと飛び出してきます。場合によっては胃に近い十二指腸から飛び出してくることもあり、その場合には吐瀉物に黄色い胆汁や緑色がかった膵液などが混ざっている状態がみられます。
「悪心」も同様に、嘔吐中枢からの命令で起こるものですが、悪心が嘔吐の前触れという場合もありますし、悪心を伴わないで嘔吐する場合もあります。
Action1 悪心・嘔吐のメカニズムを理解する
悪心・嘔吐は、嘔吐中枢が何らかの原因で刺激され起こります。