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【書籍紹介】看護師のための論語ー成長し続ける力が身につく孔子の教え

  • 公開日: 2018/5/17

経験年数に関係なく看護師に読んでもらいたい本

 この本は6章から構成されており、『論語』という看護の世界では触れる機会のないものを通して1人の看護師、1人の人間を成長させてくれる本です。

 『論語』は世界3大聖人の1人である孔子とその弟子たちの言葉をまとめたもので、君子と小人しょうじんという言葉が出てきます。知識や経験だけでなく、人としてのモラルや人間力を体現できる人を君子と呼び、それができるようになるため日々精進している者を小人と呼び、小人が君子に成長するためのガイドブックが『論語』です。看護師1年目が日々経験、学習を通して努力をすることで年数を重ねていく。その中で、悩むことや迷うこともあるでしょう。そんなときに、この本には1人の看護師としてだけでなく1人の人間を支えてくれる言葉が詰まっています。

『論語』を通してみる看護師とは?

 例えば、第1章「なぜ、学びが必要なのか」では、学習する意味やその知識を身に付ける方法が述べられています。その中で、「学んだ知識を身に付けるポイント」として、孔子の考えを用いて述べられています。学習するということは、看護師として働く以前の学生時代から行なっていたと思います。その学習について、皆さんは深く考えたことはあるでしょうか? 学習をするということは、看護師として知識のインプットやアウトプットにより自分の看護師としてのスキルが上がるだけでなく、患者さんに対してより良い看護を提供できるようになったり、仕事仲間に対してより良い影響を与えることができるようになったりと、より良い成長に繋がると考えられます。

 また、第4章「患者が安心できる看護師になるために」では、看護師として患者さんとかかわる際のポイントが孔子の考えを用いて述べられています。看護師の専門性は診療の補助だけでなく、療養上の世話でも発揮される必要があります。日々の患者さんやその家族がその人らしく生活できるように環境を整える。患者さんの思いに寄り添い言葉かけをする。そういった専門性は患者さんやその家族とのかかわりにおいて大切な看護師の技術になりますが、その技術を取得するには経験を積むしかありません。

 しかし、経験が少ないとどうしても技術が未熟なために自分の意図した言動と相手の解釈の違いから、「言ったことをやってくれない」や「どうしてやってくれないの?」など、患者さんや家族とのかかわりで困ったり悩んだことはなかったでしょうか? そういったときにどう考え、どう対応すると良いか、本書は一つの考え方を示してくれています。

成長を促す、有益な教訓の数々

 ここで紹介したもの以外にも、本書では『論語』を通して人間関係や後輩指導、生き方などについてくわしく解説されていて、新人1年目の看護師から経験を積んだ看護師まで幅広く読むことができます。日々、多忙な業務に追われることで、向上心を保つことが難しかったり、心の持ち方で悩むことがあるかもしれません。本書には生きていくうえで有益な教訓が数多く含まれているので、どんな看護師にも読んでもらいたい1冊になっています。


表紙
監修:佐久 協
定価:本体1,500円(税別)
サイズ:四六判
ページ数:128ページ
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