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【連載】Nursing 最前線 ―看護の現場をリポート―

救急救命士の力を ERで生かす! 業務分担と連携で 円滑な救急看護の実現へ<平成立石病院>【PR】

  • 公開日: 2018/12/19
  • # 注目ピックアップ
  • # 看護師インタビュー

 地域の急性期・救急医療を担いたいという思いで創設された平成立石病院は、開設以来東京都東北部の地域医療を支えています。東京都救急搬送患者受入体制強化モデル病院にも指定され、積極的に救急外来への救急救命士導入を図っています。救急救命士たちはどのように活躍し、それにより看護はどのように変化したのでしょう。話を聞いてみました。


救命士と看護師の業務をすみ分け救急対応の流れをスムーズに

 2017年度に平成立石病院が受け入れた救急搬送の数は月平均620件。1日あたり25件、1時間に1件以上の救急搬送を受け入れている計算になります。それらを受け入れている救急科(ER)は、医師1名、看護師3~4名、救急救命士(以下、救命士)3名(日勤帯)という体制になっています。

 「救急救命士は、法律によって特定医療行為が認められています。これは救急搬送中に限られたものですが、彼らはそれを実践できる知識をもち合わせています。このような根拠をもった専門職は医療機関でも重要な戦力になる。当院では2015年から救命士を採用し、2017年には救急救命士科を創設。現在10名の救命士が勤務しています」と、佐々木久美子看護部長(現医療法人社団直和会・社会医療法人社団正志会本部看護業務担当部長)は話します。

佐々木久美子看護部長
佐々木久美子看護部長(現医療法人社団直和会・社会医療法人社団正志会本部看護業務担当部長)

 救命士はERに配置され、看護師と共に救急患者さんに対応しています。救急隊から電話が入ると救命士がまず対応して情報整理を行い、それを医師・看護師が共有し、受け入れ準備を開始。患者さん到着後、医師・看護師・救命士でトリアージを行った後、ストレッチャー移動、バイタルサイン測定、採血後の検体の採血管への分注、検査付き添いなどを救命士が、患者アセスメント、ルート確保、採血、その他の医療的処置を看護師が行います。救命士の介入により、ERでの看護が変わったと石塚智子看護師長は話します。

患者さんの様子を観察
自院の救急車を使用して搬送を行う場合は、救急救命士が同行して患者さんの様子を観察する

情報の共有
救急外来での業務は救急救命士と看護師が分担。それだけに情報の共有は欠かせない

 「救命士は電話対応時の判断が早いため、初動が早くなりました。また検査の付き添いや入院時の申し送りなどを受け持ってくれるので、看護師は、その間に記録やご家族への説明、あるいは別の患者さんへの処置が行えるようになり、本来の看護業務に集中できます。慌ただしさのなかでも、以前よりスムーズな対応が可能になったと思います」(石塚師長)

専門職として意識をもって力を発揮できる環境づくりを

 一方で、救命士は医療機関内で働くことをどのように考えているのでしょう。家田淳史救急救命士は次のように話します。

 「救命士の資格保有者の約半数が、資格を生かせず働いているという現状があります。このようななかだからこそ、自分たち救命士も医療の最前線で貢献できることを示したいと思っています。業務は看護師とのすみ分けがルール化されているので、自分たちができることをしっかりと行い、それを患者さんの予後に還元できればと考えています。また、看護ケアの補助につくこともあり、それも自分たちの学んできた知識の裏付けになる。症状アセスメントなどがとても勉強になります」

 救命士は、救急処置に関する知識を研修会などで発信する機会も少なくないといいます。それが、看護師たちの学びを促しているとか。ERに所属する田山輝美看護師も刺激を受けている1人です。

 「BLS講習などで救急に関心をもつようになった看護師も多いですね。私自身も日頃の業務に加えて、講習会など学びの機会は大切にしています。救命士の知識は、救急だけでなく病棟の急変時にも役立つもの。それを生かせる体制ができれば、看護師も心強いのではないかと思います」(田山看護師)

バイタルサインのチェック
ラインの確保など医療的処置は看護師が担当する。バイタルサインのチェックなどは救命士が行い、看護師に報告

お互い影響し合いながら自らの業務に対する満足感を

 「救命士は、私たち看護師が学んでいない救急や災害の最新の知識をもっています。また看護師には、救命士が有していない医療やケアの知識・技術があります。違った専門職が連携することで、お互いが高め合える。実際、看護のクオリティや効率性がアップしました。それが、両者の満足感にもつながっているのではないかと思います」(佐々木看護部長)

 救命士の能力に着目し、それを活用する同院の救急医療。その活用は、救急の現場を充実させるだけでなく、看護師をはじめとする各職種の力を引き上げることにもつながっているようです。

自院救急車
かつしか在宅医療サポート搬送入院システムにも協力。自院救急車を活用して登録者を搬送

田山輝美看護師、家田淳史救急救命士、石塚智子師長の写真
(左から)田山輝美看護師、家田淳史救急救命士、石塚智子師長

DATA

平成立石病院
東京都葛飾区立石5-1-9
開設●2002年
病床数●203床
職員数●160名
看護配置●一般病棟10:1
日本医療機能評価機構認定病院/東京都指定二次救急医療機関/東京都指定地域救急医療センター/東京都災害拠点病院/全日病災害時医療支援活動指定病院
平成立石病院の写真


ニプロ株式会社発行:看護情報誌「ティアラ」2018年11月(no.119)より転載

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