【連載】今こそ、 訪看デビュー 働き方が選べる!スキルが上がる!
なぜ、今、訪問看護なの?③
- 公開日: 2019/7/17
訪問看護師に挑戦したいと考えるあなたへ
1 働き手の多様なニーズに応える
2017年に日本看護協会が実施した看護職員実態調査結果で、「将来、働いてみたい職場」のトップが「訪問看護などの在宅医療・看護」でした(図)1)。年代別では20歳代の回答が最も高く、次いで30歳代と若い世代の看護師が訪問看護に関心があるといううれしい数字でした。
また、訪問看護には基本的に夜勤がありません。もちろん、24時間365日の対応が求められる訪問看護では、夜間・休日対応はありますが、病院のように施設に常駐するのではなく、オンコール体制がほとんどです。それも他職種(訪問介護員、ケアマネジャー、主治医など)と協力し合い、昼間の訪問看護をしっかり実施していれば、頻回に呼び出されることはありません2)。
さらに、勤務形態が比較的自由なのも訪問看護の特徴です。病院に比べ、非常勤の割合が高い3)ことがわかっており、子育てなど家庭との両立がしやすいのも訪問看護の魅力の1つです。
訪問看護につく前職としては、病院・診療所が圧倒的に多く、「今の事業所で働きたい」という訪問看護師が6割近くおり、反対に「訪問看護を辞めてほかの仕事に就きたい」は3.8%とごくわずかです。また、訪問看護を始めた理由として最も多かったのが「働き甲斐のある仕事だから」が49.2%、「家庭と両立しやすいから」32.5%、「自分の理想の看護をやりたかったから」31.1%、「今後、社会で必要とされる仕事だから」28.4%といった結果が報告されています4)。
つまり、訪問看護ステーションには「病院勤務の経験がある」「30~40歳代」「子育てなど家庭との両立をしたい」「理想の看護をやりたい」「社会貢献したい」看護師がたくさんいるのです。
2 理想の看護を実現できる訪問看護
もちろん、どんな職場にもあるように、訪問看護にも「大変だ」と思うことはあります。前述の調査でも「1人で判断する責任が重い」「医療事故を起こさないか不安である」といった声が聞かれています。しかし、1人で全責任を負うのではなく、主治医や仲間の看護師、他職種と連携して支援することができるので、不安に思う必要はありません。
たとえそうした不安があっても、訪問看護を辞めたいという訪問看護師が少ないということは、それだけ訪問看護という仕事がやりがいのある、理想の看護を実現できるものであるといえるのかもしれません。
現在の急性期病院では、「日々の業務に追われ、ゆっくりと患者と語らう余裕がない」という声も聞きます。対して、訪問看護師は、訪問している間は、利用者の「My Nurse」でいられます。
「入院中は暗い顔をしていた利用者が、在宅では笑顔を見せるようになった」「歩けないと言われた利用者が歩けるようになった」「余命わずかと言われた利用者が元気になった」など、看護の喜びを感じる場面は枚挙にいとまがありません。
訪問看護で、看護の醍醐味をともに感じてみませんか。
引用文献
1)日本看護協会:2017年看護職員実態調査.
2)、4) 日本看護協会:2014年訪問看護実態調査 報告書.(2018年6月22日閲覧)https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/2015/homonjittai-2014.pdf
3)厚生労働省:平成28年衛生行政報告例.(2018年7月19日閲覧)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450027&tstat=000001031469
この記事はナース専科2018年9月号より転載しています。