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【連載】コーチング・ティーチングを活かしたCKD看護指導の極意

【新人・後輩指導】失敗を繰り返す、叱るとむくれる新人・後輩

  • 公開日: 2019/12/29

Q. メモをとらず、同じ失敗を繰り返してしまう新人看護師や叱るとむくれてしまう後輩看護師には、どのように対処すればよいですか?

 患者によい看護を提供するためには、まずは新人や後輩看護師への指導が大切だと思っています。

 しかし、最近の新人は、何度も説明したうえで実践してもらうようにしているのにメモをとらず、同じ失敗を繰り返します。メモをとるように促してもメモ帳を開いているだけで真剣に聞きとっている気配がしないし、叱ればむくれてしまいます。

 また、何も考えずに言われたことだけを行っている後輩も多いと感じます。

 どのように指導すればよいでしょうか?

A. 「新人はこうあるべき」は捨てましょう。「こうなりたい」「だからこうする」を新人自身に導き出させるようにしましょう。

 「何度も説明しているのにわかってくれない」「叱るとむくれるなんて・・・・・・」「私が新人のときにはありえない」など、あなたの考える新人像をあてはめて評価しようとしてはいませんか?

 看護師は、普段年齢や世代背景などに合わせた個別ケアを患者に提供しているにもかかわらず、こと新人指導となると、新人の世代背景など考えずに「新人はこうあるべき」といった自身の主観を押しつけてしまいがちです。

 まず「自分のときは」は忘れてください。以前、ある看護主任が新人に「わからないなら調べてきて」と伝えたところ、新人がその場で電子辞書を出し、調べて即答したことに「ありえない。私のときは徹夜で調べてたものよ」と怒っていました。

 現在では、電子辞書はネットで検索した情報よりも信頼性があると、看護学校でもその使用を推奨しています。怒られた新人は、なぜ看護主任が怒っているのかまったく理解できない様子でした。このように、生きてきた背景や考え方が自分たちとは違うということを認識しなくてはなりません。

 質問のなかに「メモをとらず真剣に聞きとっている気配がしない」とありますが、これも質問者の主観であって、事実は相手に確かめてみなければわかりません。メモをとらないのは、先輩や師長の話を一生懸命聞きたいと思っているからかもしれませんし、先輩の目の前で下を向いてメモをとるのは失礼だと思っているからかもしれません。

 まずは、なぜメモをとらないのか確認しましょう。もし人前でメモをとるのが失礼だと思っているのであれば、「気にせず、メモをとってくださいね」と伝えます。

 メモをとる必要性を感じておらず、同じ失敗を繰り返している場合は、せっかく経験した失敗体験の活かし方、振り返る方法はないかを考えてもらいます。そのうえで、現在メモをとらないことで生じている不都合な点、メモをとることで改善する点を話し合うなど、問題に対する解決策を探してもらい、新人自身で行動を決定してもらいます。

 このようなやりとりは時間がかかり、大変まどろっこしくて面倒です。「次からメモをもってきて、私の言うことを記録しなさい」と命令してしまうほうがどれだけ簡単かと思うかもしれません。しかし、命令された人間は、自分で考えていないため、次にまた同じような場面で同様の失敗を繰り返すなど、応用が利かない指示待ち人間になってしまうことが少なくないのです。

 コーチングは、相手に、自分で考え対策を導き出させるコミュニケーション技法です。時間はかかりますが、自分で考えるプロセスを経てもらうことで、類似の場面で応用が利き、自分で対処法を導き出せるようになっていきます。

「叱って」いるつもりで「怒って」はいませんか?

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