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【連載】先輩ナース・看護管理者が知っておきたい知識・技術

シャドウイングの実施と指導のポイント

  • 公開日: 2020/1/29
  • 更新日: 2020/10/22

シャドウイング(シャドーイング)とは

 シャドウイングは、ロールモデルの後ろを影のようについて同行する学習方法です。実際の現場における経験からしか学べないことを学習するために行われます。経験と知識を結び付けることにより、学びが深まることが期待できます。

 シャドウイングは、半日~数日という長い時間にわたり行います。そのため、時間の流れの中で、ロールモデルの行動や言動、態度、現場の雰囲気など全体を広く観察することができます。逆に細かな技術を学ぶのには適していません。ただし、シャドウイングを行いながら、実際に実践してもらうなど、技術の指導を組み込むという方法もあります。

 学習の目的がシャドウイングという学習方法に適しているかをよく考えて計画することが大切です。

シャドウイング_イメージカット


コラム 一般的なシャドウイングとは

 シャドウイングは、一般的には英語学習法の1つとして知られてます。これは、ネイティプの音声を聞いた後、即座に復唱するというもので、看護で用いられているシャドウイングとは異なります。


シャドウイングが行われる場

 シャドウイングの多くは、看護学生の実習、新人看護師の研修で、看護師の役割や看護実践、医療現場の状況などを理解するために行われています。また、リーダーなどの中堅看護師や管理職を対象とした研修でも行われることがあります。

 実際に自身の経験では、各部署のリーダー同士で互いにロールモデルとなってシャドウイングを行ったことがあります。他部署のリーダーの仕事を観察することにより、「自分だけが大変ではないことがわかった」といった共感や「他部署からの依頼内容の意味がわかった」など、新たな気づきを得るという効果がありました。

 また、新人研修の中で興味深かったのは、医師以外の医療職、清掃スタッフ、警備員をロールモデルとしたシャドウイングです。それぞれの職種の活動、患者さんや看護師との関係性を観察することによって、他職種とのかかわりを考えることが目的でした。結果、新人看護師からは、それぞれの職種の仕事内容を理解しただけではなく、「患者さんのことを考えて行動していることがわかった」「この病院で働けてよかった」といった声も上がりました。また、この研修を通して、看護師以外の病院スタッフが新人看護師を見守ってくれることにもつながりました。

<シャドウイングの実施例>
・看護学生の実習・新人看護師研修
ロールモデル:中堅看護師など
目的:医療現場の状況、看護師の活動や役割、看護実践の理解

・新人看護師研修
ロールモデル:医師以外の医療職、清掃スタッフ、警備員など病院内のスタッフ
目的:他職種連携における看護師のかかわり

・リーダー研修
ロールモデル:各病棟のリーダー
目的:他部署のリーダーの仕事や役割の理解、自身の振り返り

・師長研修(就任前)
ロールモデル:師長
目的:師長の役割の理解

シャドウイング実施のポイント

準備が大切

 シャドウイングは、シャドウイングの実施者(以下、実施者)とロールモデルの機能を果たす看護師(以下、ロールモデル)の双方が学びの目的を理解し、積極的に参加しなければ効果は期待できません。さらに、現場に負担がかかる学習方法でもあります。

 できるだけ現場への負担を減らし、高い効果を得るためには準備が非常に大切です。他施設や他部署に依頼する場合は、担当者と十分に打ち合わせを行う必要があります。

目的を明確に
 重要なのは、目的を明確にすること、そして、その目的に合ったロールモデルを設定することです。他部署に依頼する場合は、目的とともに経験年数などロールモデルの希望を具体的に伝えておきます。

 ロールモデルにも、何を見せたらよいかがわかるように目的を十分に説明します。

終了後は振り返る時間を
 シャドウイング中に実施者が得る情報量は膨大なものになります。この情報を整理して学びにつなげるためには、終了後に実施者がロールモデルに感想を述べたり、質問をしたりする時間を、10分程度でも設定することが大切です。

ルールを決める
 当日、予想されることに対しては対応できるようにルールを決めておきます。例えば、同行拒否の患者さんをケアするときなどの待機場所、実施者が体調を崩したときの対応などです。

 また当大学の場合、患者さんに配慮し、メモはナースステーションで記述することをルールに組み込んでいます。こうした実施者の行動についても、ルールを決めておくとよいでしょう。

患者さんへの配慮
 患者さんには、あらかじめ協力をお願いし、了承が得られた患者さんにだけ同行するようにします。シャドウイングを行う際も、患者さんへの配慮を忘れないようにします。

実施者への指導ポイント

 シャドウイングは、ただ漫然とロールモデルについてまわるだけでは学びにはつながりません。実施者が自主的に学ぶという意識づけが大切です。そのためには、オリエンテーションなどの事前の指導が重要となります。

 目的を十分に説明し、何をポイントにして観察したいか、個別の目的を明確にするように働きかけます。

 また、観察するだけではなく、それによって何を考えたか、感じたかを意識するように指導します。基本的なことですが、当日は挨拶を積極的に行い、基本的なマナーを守るように指導することも大切です。

 なお、中には遠慮してロールモデルから遠く離れてしまう実施者もいます。ロールモデルの行動に配慮した距離を保つことは必要ですが、なるべく近くで観察するように指導しましょう。

【実施者のシャドウイング時の注意点】
・研修の目的をよく理解し、自分なりの目的をもつ。
・スタッフや患者さんに積極的に挨拶をする。
・基本的なマナーを守る。
・ロールモデルの行動や言動などを観察するだけではなく、それによって自分が何を考えたか、感じたかを意識する。


イラスト/ふるやますみ