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【連載】やってみよう! フットケア

第17回 肥厚、爪白癬、変形した爪①〜観察ポイントとケアの注意点

  • 公開日: 2020/2/27

次のトラブルのある爪、は「肥厚、変形した爪、爪白癬」のケアです。
変形、肥厚、爪白癬は合併していることもあり、十分な観察、聞き取りを行い適切なケアを提供することが必要となります。
巻き爪と同じように「観察→できるケア→継続していくこと」を見ていきましょう。

1. 肥厚した爪

 爪が厚くなるケースとしては、次のようなものがあります。

①爪が重なって厚くなっていくもの。

 原因は深爪や骨の変形などもですが、長年の摩擦によって起こることもあります。

 深爪をすると爪が厚くなるのは、先端の皮膚や軟部組織が硬く盛り上がり爪が伸びるのを邪魔するからと言われています。あさりやはまぐりの貝殻のように層になって肥厚するものや、爪全体が一枚のように厚く、硬くなるものもあります。爪の色は混濁し、茶褐色や灰色に変色します。

 長年放っておくと巻貝のように曲がっていくこともあります。

②爪の下の角質が増殖して厚くなるもの

 爪の下の皮膚が厚く、硬くなり爪と皮膚の境界がわかりにくくなります。

③爪白癬によって厚くなるもの

 これまでのフットケアと同じように観察を行い、優先順位をつけていきましょう。

 患者さんが「今、何で困っているか? 最優先するケアは何か?」を考えます。


症例 爪全体が硬く分厚く自分でケアができない。
80代 女性 3年以上爪切りをしていない。靴を履くと爪があたって指先に疼痛あり。

爪の変形


実際のケア

①通常の爪切りと同じようにまずは長さを整えます。
変形して伸びた爪が隣の指にあたらないよう指の形に納まるように切り、やすりで角を丸くします。
爪の生え際の皮膚も観察し、爪で傷がつくようであればなめらかに削る。

②表面が、がたがたになっているようであれば細かい目のやすりで引っかかる部分だけ削って整えます。

③削っても爪が崩れない硬さであれば時間をかけて徐々に薄くしていきますが、初回ですべて削らないで身体が適応できるかを観察します(違和感や歩行状態)。

注意点 
・高齢者は急に爪の厚みを変えると感覚がついていかず違和感を訴えることがあるので、爪の厚みを減らすのは徐々に行うほうがよいでしょう。
・靴の中に今まで肥厚した部分があたっていたへこみがあれば修正しておくことが必要です。

2.爪白癬

 爪白癬は白癬菌が爪に感染して起こります。

 皮膚の白癬から感染するのがほとんどですが、爪の表面ではなく下層から侵されていくので外用薬が浸透しにくく、内服薬での治療が必要になります。

 高齢者や他の疾患があり内服薬が使えない場合は、ケアで対応します。

 白癬菌に感染すると最初は黄色、白色、褐色などに変色して縦に筋が入ったり、表面がでこぼこした状態になります
そのまま長年放置していると爪は白濁し、爪の下の角質が厚くなり爪がもろくなり崩れてきます。

 できれば皮膚科を受診して白癬菌感染を確定し、医師の治療方針をもとにケアをすすめていきましょう。

観察ポイントとケア

①爪表面の硬さ
爪白癬_爪切りの考え方
※爪切りによって爪が崩れそうなら、はがれやすいテープを切る側、残す側に貼って切るとよい

②肥厚
爪白癬_肥厚

③爪剥離
爪白癬_爪剥離

爪白癬の足

注意点

・爪の表面は硬くても下層がもろくなっている場合や内部に皮膚を巻き込んで肥厚していることがあるので削ることを前提とせず温存も選択肢に加えてください。爪がなくなってしまうと歩行時にバランスがとれなくなることもあります。

3.変形爪

 爪の変形は、外傷、先天異常、感染などさまざまな原因があります。

観察ポイントとケア

爪変形のアセスメント

変形爪の足

注意点

・爪内や周囲に出血がみられることがあります。出血部位の確認、靴や靴下の観察し、原疾患が原因と思われる場合は医師に報告、相談しましょう。
・変形はとても長い時間をかけて起こります。今すぐなんとかしなければならないケースは少ないので徐々に患者さんの状態に合わせて行いましょう。

次回からはよくご相談を受けるケースを一緒に検討してみましょう。

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