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【書籍紹介】メディカルスタッフ必携 7か国語対応イラスト会話・単語帳

  • 公開日: 2020/3/1

突然ですが、明日、あなたの部署に外国人患者さんが来たら、どのように対応しますか。
「ご本人確認のため、お名前と生年月日を教えてください」
日本語では自然に出てくる本人確認でさえ、英語ではしどろもどろ。でもその患者さんが中国人だったら? ベトナム人だったら? 全くお手上げ! 言葉が出てこないことに愕然とする方もいらっしゃるかもしれませんね。

「移民大国」日本

 「いやいや、うちの病院は東京や大阪みたいに都会じゃないから、外国人なんて来ないよ」

 そう思う方もいるかもしれません。しかしスーパーでの品出しや清掃、居酒屋でオーダーを聞くバイト、深夜のコンビニなど、周囲を見回せば、外国人を見かけることは珍しくなくなってきたと思いませんか。また、人口減少や少子高齢化で人手不足に困っているのはサービス業に限りません。若い人材確保が難しい農業や漁業、東京五輪を背景に建設ラッシュが続く建設業など、外国人労働者への期待が高まっています。

 実際、現在日本で暮らす在留外国人は約283万人(2019年現在)1、1990年と比較して2.6倍と急激に増加しています。また、2017年と少し古いデータになりますが、経済協力開発機構(OECD)加盟35か国中4番目に外国人を受け入れ、7番目に外国籍者数が多い国となっています2。既に日本は、事実上の「移民大国」なのです。

もし、明日、外国人の患者さんが来たら?

 そんな彼らが風邪をひいた、頭が痛いといったときにまず受診するのは、自宅や職場に近い地域の病院です。つまり外国人観光客が集中し、医療通訳や医療コーディネーターといった外国人患者の受け入れ態勢が整っている病院に限らず、今後、中長期的に中小規模の病院であっても外国人患者が増加することが予想されます。

 もちろん患者さんご自身が、通訳や言葉がわかる方を手配されることもあります。しかし、通訳者がいない、日本語が話せない、そんなときはどうすればよいのでしょうか?

 「うちの病院には外国語が喋れるスタッフはいないし、もちろん通訳もいない」

 そんな状況でも、何とか患者さんとコミュニケーションを取り、病状を確認し、適切な医療や看護を行うにはどのようにすればよいか。そんな思いからこの本は生まれました。

この本の特徴

 この本の特徴は大きく2つあります。

 第一に、収録されている160会話、200単語全てに英語・中国語・韓国語・ベトナム語・タガログ語・ポルトガル語・インドネシア語の7か国語が表示されています。日本に来られる人数が多く、かつ現在も増加傾向である国々を対象としました。これらの言語で、在留外国人の約80%をカバーすることができます3。加えて訳者は各言語を母語とし、かつ日本の医療事情や文化に精通している方々にご協力いただきました。実際に医療者や医療通訳としてご活躍の方もおり、アプリなど翻訳サービスと比較しても、安心してお使いいただくことができます。

 次に、ゆびさしを通じてコミュニケーションを図れるよう、身体部位や症状をイラストでまとめています。これは神経―筋難病疾患を抱える患者さんの文字盤や、外国で旅行をする際のゆびさしガイドブックをイメージしています。会話や発音に自信がない方でも、「ゆびさし」を通じて言葉の壁を越え、現場ですぐに外国人患者とスムーズな意思疎通ができることを狙っています。

この本の構成

 この本はChapter.1からChapter.4と付録の5部構成になっています。

 Chapter.1から3では、医療機関で用いられる重要フレーズ・単語をまとめました。外来から入院、検査、手術、病室、退院まで、外国人患者との意思疎通を円滑にするため、自然な表現にこだわって翻訳しています。また見慣れない文字も発音できるよう、ネイティブの発音に即して、ひらがなでふりがなを記載しました。Chapter.4では、前述したように、会話や発音に自信がない方向けに、全身の部位や症状をイラストで示しました。

 また付録では、日本で働く外国人看護師や介護士向けに、医療現場のわかりにくい日本語を掲載しました。医療の日本語は通常の漢字、ひらがな、カタカナに加えて、略称やドイツ語由来の言葉など、さまざまなことばが入り乱れています。わかりにくい原因別に言葉を分類し、場面を分けて紹介しています。

 この本は医療機関で働く医療従事者、外国人患者対応にかかわる事務スタッフだけでなく、医療機関で働く外国人、それを支援する日本人にとってもオススメです。この本を読むことで、外国人患者さんとのコミュニケーションに関する悩みが少しでも軽減され、安心かつ適切な医療サービスの提供の一助になれば、製作者としてこれ以上嬉しいことはありません。ぜひ参考にしてみてください。

7か国語対応イラスト会話・単語帳
編:宮川真奈美
発行:学研メディカル秀潤社
定価:2500円+税
ページ数:240ページ
詳しい内容はこちらから → https://gakken-mesh.jp/book/detail/9784780913590.html

引用文献

1.3法務省. 令和元年6月末現在における在留外国人数について(速報値)(2020年2月12日閲覧)http://www.moj.go.jp/content/001308162.pdf
2.OECD. OECS Stat International Migration Database(2020年2月12日閲覧)https://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=MIG

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