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【連載】循環器科で必要な看護技術を学ぼう!

心嚢ドレナージの看護|挿入の手順と観察項目、合併症

  • 公開日: 2020/4/26
  • 更新日: 2020/5/12

目次


心嚢ドレナージとは

 心臓の周囲は2枚の心膜で覆われており、この2枚の膜の間の部分を心嚢といいます。心嚢内には10~20㏄程度の心嚢液があり、心臓が収縮や拡張するときに潤滑油の役割を担っています。何らかの原因で多量の心嚢液が貯留して、心機能に障害が生じる状態が心タンポナーデです。この溜まった心嚢液を体外に排出することを心嚢ドレナージといいます。

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心嚢ドレナージの目的

・心嚢液を排液し、心嚢内の液体貯留を防ぐことで、心タンポナーデを予防します。
・心嚢液の性状を観察・検査することで、心嚢液が増加した原因を検索します。

心嚢ドレナージの挿入手順

必要物品の例

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a.マキシマルバリアプリコーション*1:マスク、ガウン、キャップ、滅菌手袋
b.術野の確保:滅菌用ドレープ、穴あきドレープ
c.消毒:滅菌綿球、消毒剤(ポピドンヨード液など)
d.局所麻酔:1%リドカイン注射液、23Gカテラン針、注射器
e.排液用:心嚢穿刺用アスピレーションキット、滅菌ガーゼ、排液容器
f.固定用:ナイロン糸、テープ、フィルムドレッシング材、
g.検査用:エコー滅菌カバー、滅菌スピッツ

*1 感染予防のため、キャップ、マスク、滅菌ガウン、滅菌手袋、大型滅菌全身用ドレープを用いて無菌操作で施行すること

挿入手順 ※ここでは経皮的心嚢ドレナージの手順を示します。

   医師 看護師
侵襲を伴う検査、治療であるため、患者家族に詳細を説明し、同意を得ます。 処置の同意書を確認します(名前、日付、合併症の記載など)。
経胸壁エコーにて、心嚢液の貯留を確認します。 必要物品を準備します。
穿刺部位(剣状突起・心尖部・胸骨左縁アプローチ)を選定します。zu3 患者さんを30~45°の半座位にします。zu2
消毒をします。
剣状突起アプローチの場合、鎖骨の高さから臍まで消毒します。剣状突起を中心に滅菌ドレープを用いて清潔野を確保します。
消毒薬を準備します。ヨードアレルギーがある場合は、クロルヘキシジンを準備します。
キャップ、マスク、滅菌ガウン、滅菌手袋を装着します。 医師が滅菌ガウン、滅菌手袋を装着する介助をします。
キャップ、マスク、滅菌手袋を装着します。
穿刺部位に皮下注射で局所麻酔をします。 1%リドカイン注射液を準備します。キシロカインにアレルギーがある場合は、プロカイン塩酸塩を準備します。
穿刺を行います。
剣状突起と左肋骨弓が交差する点より0.5㎝~1㎝程度下方から、30~45°の角度で実施します。
心嚢排液用アスピレーションキットを準備します。
アスピレーションキットを挿入します。エコー目視下に穿刺針を挿入し、ガイドワイヤーを穿刺針から挿入します。挿入後、穿刺針を抜去し、ガイドワイヤーからシース*2を挿入します。 血圧、心拍数、呼吸回数、SpO2、呼吸パターン、意識レベル、痛みの有無をモニタリングします。
心嚢液を排液します。 排液の量や性状を確認します。
アスピレーションキットを留置する場合は、ナイロン糸で固定します。胸部X線で合併症などを評価します。 テープで固定を強化します。胸部X線撮影の介助をし、衣服を整えます。

*2 「シースイントロデューサー」の略で、カテーテルなどデバイスの挿入・交換をしやすくするために血管内に留置される管のこと

心嚢ドレナージの管理(観察項目・注意点)

穿刺前

急変対応の準備
 末梢静脈ラインを確保し、気管内挿管、緊急薬品を準備しておきます。

穿刺中

穿刺部の疼痛
 処置の痛みや過度の緊張によって、迷走神経反射(徐脈、低血圧)が誘発されることがあります。局所麻酔薬の皮下注射や穿刺の際は事前に声をかけ、タッチングを行うなど不安や苦痛の軽減に努めます。必要であれば局所麻酔薬を追加します。

バイタルサインの確認
 合併症の早期発見のためには、血圧、心拍数、不整脈の有無、呼吸回数、SpO2、意識レベル、ショック症状の有無を観察します。また、モニタリングしやすくなるようにモニターの同期音やアラーム音を高めに設定し、血圧をこまめに測定できるようにします。

排液の観察
 心嚢液の排液量、性状、色を確認します。持続吸引時、排液量2mL/㎏/hが3時間以上持続する場合は、開胸止血術になる可能性があるため注意します。順調に経過した場合、性状はさらさらで、色は淡血性→淡々血性→淡黄色→淡々黄色と変化します。

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穿刺後

穿刺部の観察
 アスピレーションキットの挿入部が観察できるように、フィルムドレッシング材とテープを用いて固定します。挿入部からの滲出や出血がないか、感染徴候(発赤、腫脹、熱感、疼痛)がないか、フィルムやテープがはがれていないかを確認します。
 

心嚢ドレナージの合併症とケア

心筋及び冠動脈損傷、気胸、血胸、低血圧、消化管穿孔、肝損傷

 挿入により臓器損傷を来した場合は、急変する可能性があります。バイタルサインや排液の性状を確認し、異常の早期発見に努めます。また、CT、MRI検査の追加など状況に応じた対応が必要です。

不整脈

 穿刺時やドレーン留置によって発生する可能性があります。そのため、穿刺時には注意深くモニターを観察します。ドレーン留置で不整脈が誘発された場合は、留置位置の変更が必要となることから、医師に報告します。

感染

 感染を予防するために、穿刺前に穿刺部位の洗浄、術者のマキシマルバリアプリコーションの徹底、確実な清潔野の確保、無菌操作の徹底を行います。
 

迷走神経反射(徐脈、血圧低下)

 迷走神経反射は、何らかの原因で副交感神経の1つである迷走神経が刺激され心拍数が低下し、末梢の血管の拡張により血圧が低下することで、脳に十分な血液が送れなくなり起こります。迷走神経反射で血圧が低下した場合は、補液を急速に投与します。徐脈になった場合は、硫酸アトロピンを準備します。

参考文献

●日本循環器学会,他:循環器医のための心配蘇生・心血管救急に関するガイドライン.循環器の診断と治療に関するガイドライン(2007-8年度合同研究班報告),2009,p.1417-19.(2020年3月26日閲覧)http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010kasanuki_h.pdf
 

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