動画で学ぶ! 在宅での創傷治療【PR】
- 公開日: 2020/6/4
2025年には、65歳以上の高齢者は3,657万人となると予測されており、現在、在宅医療が推進されています。
在宅医療を行うためには、病院や多職種との連携は欠かせません。さらに、在宅での治療ならではの気をつけるべきこともあります。
この記事では、現在、創傷専門の在宅療養支援診療所を立ち上げ、在宅医療の領域で活動している木下幹雄先生による病院・在宅の連携、在宅医療で必要なこと、実際のケアについて解説した動画をレポートします。
介入時に確認すべき5つのポイント
はじめて患者さんの診療にあたる際に、医療職者側が確認しておくべき点は5つあると考えます。どのようなことを確認すればよいのかポイントを紹介します。
POINT1 患者さんの経済状況
初回訪問時に、玄関をくぐったところから治療は始まっています。療養の場となる家の環境はどうなのか、ということはもちろんですが、自費で用意しなければならない物品があったとき、購入できるか、健康保険の負担割合は何割なのか、介護保険の支払い状況はどうなのか、といったことを推察します。
介護保険の認定状況についても確認しましょう。介護保険に加入している場合は、介護保険被保険者証というものが配布されています。これにはさまざまな情報が入っています。その中でも介護度認定状況は、その後のサービスを相談するうえで重要です。担当のケアマネジャーさんが誰なのかも介護保険被保険者証で確認しておきます。
POINT2 家族の協力の程度
独居なのか、同居なのか、家族の協力はどれくらい得られるのか、キーパーソンは誰なのかを把握することは大切です。家族がどれくらい介護できるかで、介護スタッフをどこまで入れるか、どこまで指導するかが変わります。
POINT3 患者さんのADL
寝たきりなのか、寝返りはうてるのか、車椅子への移乗は一人でできるか介助が必要か、長時間座っていることができるかを確認します。
歩行できる場合は、杖を使用するのか、つたい歩きであれば可能なのか、外出は一人でできるのか介助者が必要なのかをみます。これらは、治療に必要な福祉用具の選定にかかわります。さらに、治療のゴールも変わります。
POINT4 栄養状態
栄養状態が悪いと褥瘡・創傷は治りません。自分で摂取できるのか、介助が必要なのか、食事形態はどのようなものがよいのか、誤嚥の危険性はないかを確認します。十分な栄養が摂れるようにするために、介助の有無、食形態、栄養補助食品が必要かどうかを判断します。
POINT5 治療環境
ADLや創部の状態に合った介護機器が導入されているのか、清潔を保つための環境整備がなされているかを確認することは大切です。
在宅で使用する外用剤・創傷被覆材の選択
外用剤と創傷被覆材の違いは下記のようにまとめられます。違いを理解して選ぶことが大切です。
外用剤 | 創傷被覆材 | |
---|---|---|
1回あたりの交換単価 | 安い | 高い |
交換の頻度 | 原則毎日 | 週に2〜3回 |
作用 | 主剤や基材の違いで多様な作用が出せる | Moist healingがメイン 抗菌・保護作用が付加されたものもある |
処置の難易度 | やや複雑 | 容易 |
例えば、創部の汚染が強い場合、滲出液の量が多い場合には、毎日傷の状態の確認が必要であり、交換の頻度を高くしなければなりません。そのため、1回の交換の単価を低く抑えることを目的に、外用剤を選択するとよいでしょう。逆に汚染があまりない、肉芽の表面がきれいになってきている、滲出液が少ないという状況では、交換頻度を高くする必要はないため、交換の単価が多少は高くなってもよいと考え、創傷被覆材を選択し、治療回数の頻度を下げるとよいでしょう。
知っておきたい処置の工夫
在宅で処置を行う際のポイントは、主に以下の3つです。
①洗浄液・爪・皮膚片などの飛沫・汚染を拡散させない
②持ち運びに便利な小型・ポータブルな道具をできるだけ選ぶ
③日常の処置を誰が行うのか、配分を事前に計画しておく
例えば、拭き取り式のフォーム剤を使用して、洗浄液の飛散を防ぐ、下に袋を広げて胼胝を削る際や爪の処置時に飛び散らないようにするなどの工夫をします。
【スキントラブルのケアを動画で学ぶ】
●粘着製品による皮膚トラブル対策
●チューブ・カテーテル類の管理
●医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)対策
●失禁関連皮膚炎(IAD)対策
ここまでの内容を動画でみる
●在宅創傷治療・ケア①―在宅での処置の実際(木下幹雄先生解説)
●動画の資料をダウンロード
創傷ケアの問題点と解決策―医療法人社団心愛会 TOWN訪問診療所の例―
病院の創傷ケア外来・創傷ケアセンターは非常に多くの患者さんを抱えていて、飽和状態となっているところも多いです。創傷ケアは傷の洗浄、胼胝の処理など手間もかかり、入院すると回復までに時間がかかり、病床の回転率が下がるという問題もあります。そもそも、褥瘡や足壊疽がある患者さんは通院が困難です。
できるだけ、病院に通院させる必要がなく、病院への入院期間も短縮できる手段として大学病院や総合病院の外来と在宅訪問診療を連動させて、外科系の処置も自宅で行うという仕組みを考えました。
具体的には、病院では急性期の治療(血行再建や外科的処置)を入院で行います。その後、退院してもらい、在宅で治療(抜糸や壊死組織を取り除くなどの処置)やリハビリを行います。再度、手術が必要、全身状態が悪い場合には、入院してもらうという流れです。どちらも創傷専門医が関与することで、在宅でも高度な創傷ケアを行うことができるシステムです。
●急性期病院とクリニックが完全に連動することで保存的治療と外科的治療をタイムラグなく提供する
●近隣のケアマネ・訪問看護・糖尿病・透析クリニックと連携し、下肢の創傷発生リスクが高い患者さんに早期介入して自宅での指導を含めて予防的ケアの提供を行う
このことにより、患者さん、大学病院・総合病院、創傷ケア訪問診療それぞれにメリットが生まれます。
患者さんが受けるメリット | 大学病院や総合病院におけるメリット | 創傷ケア訪問診療のメリット |
---|---|---|
・高齢で傷のある通院困難な患者さんが外来まで通院する必要がなくなる ・長期間入院療養する必要性がなくなり、自宅の安楽な環境で療養生活を送ることができる! |
・処置に手間と時間がかかってしまう外来での創傷患者さんを減少させることができる ・手術やカテーテルなどの点数の高い処置の件数が減ることはない ・術後入院患者を早期に退院させることができ、平均在院日数を短縮させることができる |
・ある程度の外科的処置、手術までが入院させることなく在宅で可能 ・オペや検査などで病院での入院加療が必要な時期を適切に判断できる ・病院での創傷ケア外来を続けることで自前のクリニックで外来を持つ必要がなくなる |
多職種連携の実際
在宅の中核となるメンバーは、患者さんと家族、そしてその意見や病状を取りまとめてケアプランを作るケアマネジャーです。この3者を中心に、ヘルパー、訪問看護師、訪問診療、理学療法士、栄養士がかかわり、総合的に支えていくイメージです。
【ここまでの内容を動画で見る】
●在宅創傷治療・ケア②―地域連携&多職種連携(木下幹雄先生解説)
●動画の資料をダウンロード
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