第6回 経鼻ルートと経胃瘻的空腸瘻
- 公開日: 2015/9/28
ポイント
1.経鼻経管栄養には、栄養カテーテルの先端が、胃におかれる経鼻胃管ルート(幽門前ルート)と、十二指腸、小腸上部におかれる経鼻十二指腸・空腸ルート(幽門後ルート)の2種類がある。
2.経鼻ルートにはカテーテルの太さはできるだけ細いもの使用するのを原則とする。成人には8-12Frの使用が推奨される。
3.経鼻ルートのカテーテル挿入後は、レントゲン撮影を行い、カテーテル先端の確認を行う。
4.先に作成された胃瘻または胃瘻カテーテルを通して、新たな栄養カテーテルを幽門輪を通過させて、先端を空腸に留置することを、「経胃瘻的空腸瘻」と呼ぶ。その主な適応は、胃瘻栄養管理で経腸栄養剤の胃食道逆流が認められ、誤嚥性肺炎を繰り返す場合である。
5.経胃瘻的空腸瘻には、内視鏡を用いる方法、X線透視下で行う方法がある。
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はじめに
経腸栄養を行うためには、消化管アクセスルートが必要となります。このアクセスルートには経鼻、胃瘻(内視鏡的、手術的)、経胃瘻的空腸瘻、PTEG、手術的空腸瘻などがあげられます。今回は経鼻ルートと経胃瘻的空腸瘻に関してまとめます。
経鼻ルート
概要と適応
栄養管理の選択において、消化管の機能が維持されている場合には、経腸栄養の適応です。経腸栄養の期間が4~6週の比較的短期間の場合は、経鼻からの栄養ルートが選択されます。経腸栄養がそれ以上の長期にわたる場合は、胃瘻や空腸瘻の適応となります。
経鼻経管栄養の症例としては、消化器手術後や炎症性腸疾患、さらに意識障害、摂食・嚥下障害などで経口摂取が困難で、かつ栄養投与期間が短期間であると予想される場合です1)。
経鼻経管栄養には、栄養カテーテルの先端が、胃におかれる経鼻胃管ルート(幽門前ルート)と、十二指腸、小腸上部におかれる経鼻十二指腸・空腸ルート(幽門後ルート)の2種類があります(図1)2)。
幽門前ルートは、ベッドサイドで挿入することができ、簡便であること、胃の貯留能を利用し、いっぺんに大量の栄養剤を投与できること、生理的なルートであること、などの利点はありますが、一方、挿入したカテーテルの影響で、胃食道逆流や誤嚥性肺炎などをきたしやすいと考えられています。
幽門後ルートは、胃の幽門輪を超えて栄養剤が注入されるため、栄養剤の逆流は起こしにくいと考えられています。しかし、いっぺんに栄養剤を投与すると浸透圧性の下痢がおこるため、少量持続投与が原則で、注入ポンプをつかう必要があります。
経腸栄養管理に用いる経鼻胃管ルートの利点を挙げると以下のようになります1)(表1)。