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【連載】ナースのための消化器ケアに役立つ基礎知識

経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)――術後の管理・観察のポイント

  • 公開日: 2017/6/18
  • 更新日: 2020/3/31

PEGとは?

胃瘻造設術[以下、PEG(Percutaneous-Endoscopic-Gastrostomy)]は、胃壁と腹壁の間にシリコーンラバー製のカテーテルを留置し、主に2つの目的のために行います。

現在は、外科手術時に胃瘻を造設するよりは、局所麻酔を行った腹壁の皮膚表面から胃内に針を貫通させ瘻孔をつくる様子を消化管内視鏡スコープで胃内から観察しながら手術を進めていくPEGのほうが主流といえます。

PEGを行う主な目的

1)直接胃内へ栄養剤や水分を注入する(経腸栄養目的)
2)胃液などの消化液を体外に排出する(消化管減圧目的)

岡山済生会総合病院におけるPEG

当院での年間内視鏡検査数は、2008年以降1万2千件を超え、年々増加傾向にあります。

その一方でPEGは、2008年に年間100件超であったものが2015年には半減しています。院内でPEGクリニカルパスを利用し、約2週間で胃瘻の導入から胃瘻孔の術創管理・栄養管理・患者さんおよび家族への指導を含め、手術前後の管理を行っています。

さらに、内視鏡センターで週1回、消化器専門外科医と内視鏡専門医によるPEGを行っています。

PEGカテーテルはおもに4つの種類(図1)ありますが、当院で使用しているPEGカテーテルの種類は24Fr、2.5cm~5cm長のバンパーボタン型です。腹壁への胃壁固定の目的で3点固定を行っています。

PEGカテーテルの種類別の図
図1 PEGカテーテルの種類

PEG適応評価とPEG術後管理の心得

当院ではより安全にPEGを行うために、医学的および倫理的に術前に手術適応評価を栄養サポートチームの医師が行っています。

術前評価のポイントを押さえることで、適切な術後管理につなげることができます。

一般的に、以下のようなケースではPEGの適応から除外します。

PEGの適応外

・経鼻消化管内視鏡でも通過困難な咽喉頭、食道、胃噴門部狭窄
・大量の腹水貯留
・肝臓や結腸等の他臓器が腹壁と胃前壁の間に位置する
・胃腫瘍性病変や急性胃粘膜病変が瘻孔造設予定部位に存在する 
・胃手術歴があり、残胃に瘻孔造設可能な場所がない

また、PEG適応外と判断した例では、主治医にその基準から手術不能であることをカルテに記載し、手術延期ならば改善点を伝達します。

術前評価ポイントと術後管理の要点は、表1のように関係しています。

術前評価ポイントと術後管理の要点の表

表1 術前評価と術後管理の関係

PEG術後管理の実際

PEGにともなう偶発症は、誤嚥・出血・他臓器損傷・消化管損傷などがあります。

術後早期合併症としては、事故抜去にともなう腹膜炎・瘻孔周囲炎に注意が必要です。代表的な術後後期合併症としては、バンパー埋没症候群や皮膚潰瘍があります。

経時的な術後管理ポイントは以下のとおりです。

手術当日

活動(床上安静)/食事・栄養(絶飲食)/清潔(清拭)/排泄(ベッド上排泄)

1)通常の手術同様に、術中および術後はバイタルサインのモニターを行う
・鎮静剤を使用していたり、認知症患者さんの場合でも、他覚的に異変に気づけるようする

2)PEGカテーテルに連結し開放されている減圧チューブおよび排液バックの胃液の性状や排液量を観察
・通常胃液は黒褐色~黄茶色であり、時間の経過に伴い無色透明に変化する
・排液量が少ない、あるいは瘻孔の脇漏れが多い場合は、ボタンとチューブの連結が緩んでいないか確認する
・赤~淡橙色など血性排液が半日以上続く場合は、瘻孔周囲の胃壁での出血が起こっていると考えられるため、医師に報告する

3)胃瘻孔創部のYカットガーゼへの出血量を観察
・通常は直径2cm程度までの出血である。術直後から半日の間までは、ボタンと皮膚の間にYカットガーゼを複数枚しっかり挟み込み、圧迫止血する
・止血したことを確認できたら、ボタン周囲に付着した滲出液や分泌物を優しく除去し、微温湯や生理食塩水でそっと洗い流して、Yカットガーゼを2枚程度に減量し圧迫を緩める
・ガーゼ交換を頻繁に行わなければならないほどの出血量であった場合には、瘻孔周辺からの出血を疑い、再びYカットガーゼをボタンと皮膚の間にしっかり挟み込み、医師に報告する
・血液検査で貧血が進行するほどの出血が認められた場合は、まれに輸血を要することもある。瘻孔周囲の腹壁からの出血の場合は、皮膚側より血管を結紮して止血する。胃壁からの出血の場合は、内視鏡的止血術を行って対応する

4)ガーゼでの圧迫止血を解除する際に、胃壁を腹壁に固定している3点の縫合固定部の発赤や腫脹の具合を観察

5)術直後は内視鏡検査を行う際に使用した咽頭麻酔の影響もあり、特に痰を誤嚥しやすいため、口腔内の吸引や体位変換を随時行う
・必要時には酸素投与できるようにしておく

6)出血などの偶発症が術後数時間内に認められなければ、内服薬は胃瘻カテーテルを使用して注入
・抗不整脈薬、降圧剤、向精神薬などは、平生常用されている薬剤を用いたほうが術後安定した状態を維持できることが多い

手術翌日~瘻孔完成(術後約1週間)まで

活動(安静制限なし・リハビリテーション可)/食事・栄養(白湯や栄養投与可・術前に経口摂取していた場合は再開可)/清潔(減圧チューブが取り除かれ創部痛が消失すればシャワー浴可)/排泄(トイレ移乗可)

1)ボタン周囲の創部痛
・術後2-3日間続くが、その後は自然消褪する
・疼痛が強いときには、事故抜去による腹膜炎を防ぐためにも鎮痛剤を使用してかまいませんが、高熱を伴う場合は感染症も考慮し、主治医と相談しながら対応する

2)瘻孔完成前のカテーテル事故に注意
・瘻孔完成前にカテーテルの事故抜去が生じると、消化液や投与された栄養剤が腹腔内へ漏出するために致命的で重篤な腹膜炎を併発してしまうため、瘻孔完成前に生じるカテーテルの事故抜去を防ぐ対策を講じることは重要である
・瘻孔は完成されても脆弱な構造であることを念頭に置かねばならない

3)理想的な瘻孔
・胃壁の3点固定で形づくられる「面」で腹壁と癒着している状態であり、3点の胃壁固定の全抜糸時期は1週間後が目安とされている
・ただし、術後翌日から座位になるなどの安静解除される時期と、縫合部の発赤・浮腫による腫脹がピークとなる時期が重なるため、胃壁固定部位が締め付けられ、局所の血流障害や瘻孔周囲炎を合併しやすくなる
・当院では毎日胃壁固定部を観察し、発赤・疼痛・腫脹の具合から、早ければ術後翌日から1か所ずつ適宜抜糸をしている

瘻孔完成後(術後1週間以降)

1) 術後1週間以上経過後の注意点
・ボタンと皮膚の間に指1本分の余裕がある状態を保ち、ボタンを定期的にくるくる回して可動性を確認し、バンパーが胃壁内に埋没してしまわないように注意する
・Yカットガーゼを挟み込んでいたボタン部分は、ガーゼをはずし、幅2cm×20cm長に切ったティッシュやクッキングペーパーをこよりにして、ボタンの周囲にマフラー状に巻いておくと、瘻孔から染み出した血液血漿成分や消化液が、皮膚に付着することを予防する。また、栄養をする度に交換を行うと、瘻孔周囲がきれいに保てる
・微温湯で洗い流し、しっかりと乾燥させることが、日々の瘻孔周囲スキンケアの基本である

2)PEG早期合併症に注意
・造設前に注意する点としては、バイタルサインのチェックのほか、口頭培養、口腔ケア、合併症の管理、抗凝固薬などの内服薬の管理など
・造設後に注意する点としては、バイタルサインのチェック、口腔ケア、高熱や腹痛の有無、排泄物の性状のほか、瘻孔部の状態、バンパーのゆるみ、カテーテルの固定に対する観察が重要

参考文献

1)田中心和;PART4 内視鏡を用いた治療とケアのポイント 胃瘻造設術、エキスパートナース・ハンドブック「消化器内科ケア」、宇佐美眞・白坂大輔編、照林社、図3胃瘻カテーテルの種類と特徴、2010、P202
2)西口幸雄;第2章胃瘻造設術 胃瘻とは、「エキスパートナース・ガイド 胃ろう(PEG)ケアと栄養剤投与法」、西口幸雄・矢吹浩子編、照林社、2008年
3)岡田晋吾:第2章PEG術後Q1PEG造設後のトラブル、どんなものがありますか?、胃ろう(PEG)のケアQ&A、岡田晋吾監、照林社、図1PEGに関連したトラブル、図2早期合併症に関する注意点、2008年