第4回 カプノメータとは?呼吸管理中に必要な生体情報モニタ
- 公開日: 2009/6/14
カプノメータとは
今回は、呼吸管理中に必要な生体情報モニタ、カプノメータについて解説いたします。
Q. カプノメータは何をする器械ですか?
A. 気管チューブと人工呼吸器回路の間にサンプリングアダプタやセンサ(もしくは鼻や口元にサンプリングチューブ)を装着して、吸気・呼気に含まれる二酸化酸素(以後CO2)の分圧mmHg(濃度%)を測定するモニタです。
主に手術室やICUなどで、麻酔器や人工呼吸器で管理されている患者の換気モニタリングとして使用されます。
肺胞に呼出されたCO2は呼気により体外に排泄されます。呼気/吸気のCO2は図1のように変化します。
呼気の初めは口元に死腔のガスが呼出されるため、CO2は0ですが(A-B)、その後急激に呼気中のCO2が増加し(B-C)、さらに呼気が進むと緩やかに上昇(C-D:肺胞プラトー)します。吸気が開始すると口元のCO2の濃度は急激に0になります(D-E)。
このCO2の濃度/分圧を経時的にグラフで表すものをカプノグラフィと呼び、濃度(分圧)数値化したものをカプノメトリと呼びます。呼気ガスの一番濃度の高い値をPEtCO2(呼気終末時CO2分圧)といいます。(図1)
Q. PEtCO2値の増減する原因は何ですか?
A. CO2は細胞のエネルギー代謝により生産され、血液循環、肺胞、気道を経由して呼出されます。その過程において様々な影響を受けるため、呼吸、循環、代謝、人工呼吸器などの影響で増減します。(下表)
Q. PaCO2(動脈血CO2分圧)とPEtCO2の値が違うのですが、それはなぜですか?
A. PaCO2は動脈血液、PEtCO2は呼気ガスから測定しており、測定対象が違うということを考えなければなりません。
肺胞と毛細管でガス交換終了時は動脈血および肺胞内のCO2濃度/分圧は理論上同じとなりますが、肺胞から呼出されたCO2は、ガス交換に関与しない気道部分で希釈されるので、口元に呼出されたEtCO2はPaCO2と比べ2~5mmHg程度低くなります。(図2)
さらに気道などのガスリークや死腔換気などで差が拡大します。