【厚生労働省】成人は6時間以上の睡眠を推奨|「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」とりまとめ
- 公開日: 2023/12/30
厚生労働省は、健康増進には「適正な睡眠時間の確保」と「睡眠休養感の向上」が不可欠であるとし、「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)」(以下、ガイド)をとりまとめました。
本ガイドでは、睡眠に関する推奨事項をライフステージごと(成人、高齢者、こども)にまとめています。
成人の場合
6時間以上の睡眠を推奨
成人では、6~8時間が適正な睡眠時間と考えられ、少なくとも1日6時間以上の睡眠時間を確保できるように努めることが推奨されるとしています。ただし、6時間未満の睡眠時間で十分な人もいれば、8時間以上の睡眠時間を必要とする人もいるなど、適正な睡眠時間には個人差があるため、日中の眠気や睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)に応じて、必要な睡眠時間を自ら探る必要があるとしています。
寝だめは健康を損なうおそれ
平日の睡眠不足(睡眠負債)を休日に取り戻そうとする「寝だめ」は、体内時計が混乱し、健康を損なうおそれがあると指摘。休日に長時間の睡眠が必要になるのは、平日の睡眠時間が不足しているサインであり、平日に十分な睡眠時間を確保できるよう、睡眠習慣を見直すことが求められるとしています。
睡眠の不調は何らかの疾患が影響している可能性も
入眠困難や中途覚醒を認めたり、睡眠休養感が満足に得られない状態が長く続いたりする場合は、生活習慣の改善を図ることが重要であるとする一方、睡眠障害、閉塞性睡眠時無呼吸、周期性四肢運動障害といった疾患が潜んでいる可能性があり、いずれも50歳代以降に有病率が増加するため、注意が必要としています。
高齢者の場合
床上時間が8時間以上にならないことを推奨
高齢者では、睡眠時間よりも床上時間(寝床に入っている時間)を重視すべきとし、床上時間が8時間以上にならないことを目安に必要な睡眠を確保するよう勧めています。ただし、必要な睡眠時間には個人差があり、高齢者でも日中に忙しく過ごしている人などについては、成人と同等の睡眠時間が必要な場合もあるとしています。
床上時間を短縮して良質な睡眠を確保
床上時間が8時間以上にならないようにするために、まずは睡眠状態を1週間記録して、床上時間と睡眠時間を把握することを勧めています。また、寝床で考えごとをするのは避けること、なかなか眠れないときは寝床を離れ、眠気が訪れるまで寝床以外の場所で静かに過ごすこと、睡眠を妨げる寝室環境(テレビやラジオをつけながら寝る、電気をつけたまま寝るなど)は改善することなどを提案しています。
ほかに、長時間の昼寝を避けて日中の活動時間を増やし、必要以上に寝床で過ごさないようにすることが、健康を増進・改善するために重要であるとしています。
こどもの場合
小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間の睡眠時間の確保を推奨
適切な睡眠時間を確保することは、こどもの心身の健康にとって重要であるとし、小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間を参考に睡眠時間を確保することを推奨しています。成長期である高校生までは成人よりも長い睡眠時間を必要であり、毎日十分な睡眠時間を確保するためには、規則正しい生活習慣を保つことが求められるとしています。
規則正しい生活で夜更かしを防止
朝は太陽の光を浴びることが大切であるとし、乳幼児期は朝起きる時間を決め、カーテンを開けて部屋を明るくし、小学生以降は登校時や学校で日光を十分に浴びることを提案しています。また、朝食を摂らない生活習慣は、夜更かしや朝寝坊を助長する原因となるため、朝食はしっかり摂ることが重要であるとしています。
さらに、適度に運動し、座りっぱなしの時間をできるだけ短くするほか、寝つきや睡眠の質の悪化につながるため、寝室にデジタル機器を持ち込まないようにすることなど、良質な睡眠のための環境づくりも必要であるとしています。