血管内治療(EVT)後の安静時間はどれくらい?
- 公開日: 2025/11/28
患者さんごとに異なる安静時間
血管内治療(EVT)後の安静時間に影響する主な要素としては、穿刺部位や使用されたカテーテル・デバイスの太さ(フレンチサイズ:Fr)、さらには、患者さんそれぞれの出血傾向や基礎疾患などが挙げられます。これらの条件によって、術後の安静時間や座位・歩行許可のタイミングが変わってきます。
一般的には、使用したシース(カテーテルの外筒)のサイズに応じて、次のように安静時間の目安が考えられています。
●5Fr:約5時間の安静
●6Fr:約6時間の安静
ただし、これはあくまで目安であり、実際の管理は患者さんの全身状態や手技の難易度、止血状況などを踏まえて個別に判断されます。
クリニカルパスで術後の安静時間を共有
当院では、EVTや経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に限らず、鼠径部(大腿動脈)からのアプローチを行う症例については、医師と相談のうえ、一定のプロトコールを作成し、術後のケアに反映しています。これらの内容は、クリニカルパスに組み込み、看護師間での情報共有や患者さんへの説明に活用しています。
近年では、止血管理の選択肢として、「パークローズ(Perclose)」といった止血デバイスを使用するケースも増えてきました。パークローズの添付文書には、「本品による処置を終えて2時間が経過すれば歩行してもよい」1)とありますが、当院ではより安全を重視し、2時間を加えた計4時間の安静を標準としています。具体的な術後の流れとしては以下のとおりです。
●術後2~4時間:体位変換を許可
●術後4時間以上:座位を許可→出血がなければ、離床・歩行も許可
このようなスケジュールで術後管理を行うことで、出血リスクを回避しながら早期離床を進めています。
また、患者さん自身にも術後の安静時間や離床のタイミングを理解してもらえるよう、当院では患者パスに「術後安静時間」の記載欄を設け、患者さんとの情報共有を図っています(図)。この取り組みにより、患者さんの不安を軽減し、術後管理に対する理解を深めてもらうことができます。
術後の安静管理は、患者さんの安全確保だけでなく、早期回復やQOLの向上にもつながる大切なケアの1つです。医療者間での共通認識をもち、患者さんとのコミュニケーションを丁寧に行いながら、根拠に基づいた柔軟な対応が求められます。
図 術後安静時間の記載例
