心不全による浮腫の影響で皮膚トラブルが生じている患者さんのケアが知りたい!
- 公開日: 2025/11/30
心不全患者さんでは、体液貯留に伴い下肢の浮腫が出現し、進行すると浸出液の増加や皮膚のびらん、表皮剥離がみられることがあります。これらは感染や疼痛の原因となり、患者さんの生活の質を著しく低下させるため、全身管理と局所ケアの両面から対応することが重要です。
体液バランスの是正
心不全に伴う浮腫の主な要因は静水圧の上昇です。そのため、根本的には体液バランスの是正が不可欠であり、利尿薬による除水や血行動態の安定化が基本となります。また、低アルブミン血症がある場合には、浸透圧の低下から浮腫が助長されるため、栄養改善も並行して行う必要があります。
下肢の浮腫が強い場合、胸水や腹水により呼吸困難が出現し、座位姿勢が長くなる傾向があります。座位は呼吸を楽にする一方で下肢うっ血を助長しうるため、症状緩和と浮腫コントロールの両立が課題となります。
局所ケアで浸出液による浸軟・感染を予防
浸出液により皮膚の湿潤状態が持続すると、浸軟(マセレーション)や感染のリスクが高まります。そのため、局所ケアでは次のような対応が基本となります。
②吸収パッドやドレッシング材を用いて浸出液をコントロールし、適度な湿潤環境を維持する
③汚染部位はやさしく洗浄して清潔を保つ
④皮膚トラブルを早期に発見し、医師に報告する
また、浮腫のある皮膚は脆弱で、乾燥やかゆみを伴うケースも多くみられますが、クリーム剤(保湿剤)に冷却材としてメントールを添加すると、症状の緩和につながる可能性があります。
一方、一般的な浮腫ケアとして行われる下肢挙上や弾性ストッキングの使用は、心不全患者さんでは慎重であるべきです。これらは静脈還流を促進する反面、前負荷を増大させて心不全を悪化させる可能性があるため、ルーチンでの実施は推奨されるものではありません。浮腫のみを標的とした標準的なケアが、そのまま心不全患者さんに適用できるわけではない点を理解する必要があります。
浮腫の軽減や皮膚の保護に配慮した日常ケアを実施
生活支援の観点では、長時間の立位や座位を避け、可能な範囲で体位を変えることが浮腫軽減につながります。また、心臓の負荷にならない範囲で足関節をゆっくり動かすなど、軽度の下肢運動を取り入れると、腓腹部の筋ポンプ作用が促され、静脈うっ滞の緩和が期待できます。
さらに、浮腫により菲薄化した皮膚は、摩擦やずれ、軽微な外力で表皮剥離が起こりやすい状態です。衣類は締め付けが少なく、柔らかい素材のものを選び、靴や靴下のサイズも適切に調整して、局所的な圧迫・摩擦を防ぐことも、日常的に実践しやすいケアの1つです。爪のケアや掻破予防も含め、皮膚の保護に配慮した対応が求められます。
このように、浮腫や皮膚の管理においては、心不全という背景にある疾患を十分に考慮しながら、全身状態と局所状況の両面に目を向けたケアを選択していくことが大切です。
