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【連載】NPPVのキホンとトラブル回避術

NPPVの特徴と種類(BiPAP Vision、NIPネーザルV、BiPAP シンクロニーなど)

  • 公開日: 2014/3/6

機器のトラブルや操作のミスが患者さんの命の危機に直結します。そこで実施にあたっては、メカニズムや種類、使い方などをよく理解しておくことが大切です。


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NPPV機器本体の特徴と種類

NPPV機器の原理を簡単にいうと、1本の回路で、2相の異なる陽圧--すなわち、吸気時には高い圧(吸気時気道陽圧:IPAP)と呼気時には低い圧(呼気時気道陽圧:EPAP)を、換気サイクルに合わせて交互にかけ、そのときに生じる圧差で換気を行う(CO2を低下させる)というものです。また、EPAPはPEEP(呼気終末陽圧)にも相当することから、NPPVで酸素化の改善も望めます。

NPPV機器本体には、院内の急性期病棟やICUで使用する機器から、慢性期病棟や在宅で使用するものまで、さまざまな種類があります。

急性期に適した機種には、BiPAP Visionがあります。機器本体に酸素ブレンダーを備え、吸入気酸素濃度(FIO2)を21 ~ 100%まで設定でき、ディスプレイやグラフィック表示で患者パラメーターなどをモニタリングできるといった機能もあります。リスクを回避するためのさまざまなアラームが装備されており、操作にはそれなりの知識が必要で、機器本体も大型でかなりの重量があります。

一方、慢性期や在宅に適したものには、NIPネーザルV、BiPAP シンクロニーなど(2012年10月現在)、各メーカーからさまざまな機種が出されています。最小限のアラームを備え、操作が比較的簡単で、機器本体も小型かつ軽量で、持ち運びに便利になっています。

換気モードの種類

NPPV機器には、一般的にSモード、Tモード、S/Tモードの3つの換気モードが備わっています。この3つのモードをうまく選択することが重要になります。また、CPAPモードを備えている機器もあります。

  1. ●Sモード 患者さんの自発呼吸をトリガー(感知)して作動するモードです。IPAPとEPAPの時間と呼吸数は、患者さんの自発呼吸に依存します。
  2. ●Tモード 患者さんの自発呼吸とは無関係に作動するモードです。あらかじめ設定した呼吸数と吸気時間に従って、自動的にIPAPとEPAPが切り替わる「強制換気」モードです。
  3. ●S/Tモード 患者さんの自発呼吸を感知しなくなるとバックアップが働くモードです。通常は、患者さんの自発呼吸をトリガーしてSモードで作動していますが、トリガーできなくなるとバックアップが働き、Tモードに切り替わります。
  4. ●CPAPモード 一般的に睡眠時無呼吸症候群に用いられる換気様式で、常に一定の陽圧を気道に加える(持続的気道陽圧)モードです。NPPV でCPAPモードを用いるケースは、同モードが有効だといわれている急性心原性肺水腫で、睡眠時無呼吸症候群にはCPAP専用機器が用いられています。

換気モード選択のポイント

Sモード、Tモード、S/Tモードの3つを使いこなす最大のポイントは、患者さんの自発呼吸をNPPV機器がトリガーできるかどうかです。

Sモードは、前述したとおり、患者さんの自発呼吸に依存しているため、トリガーできないほど自発呼吸が弱いケースでは作動しません。一方、Tモードは、患者さんの自発呼吸に関係なく作動することから、Sモードでトリガーエラーが発生してしまうケースに用いられます。

ただし、いずれの換気モードが優れているかということはなく、症例に応じてさまざまに使いこなすことが大切です。通常、当院では、自発呼吸の有無を確認するためにSモードから開始し、トリガーエラーがあればTモードに切り替えてNPPVを実施するようにしています。

また、しっかりした自発呼吸があり、トリガーエラーがない患者さんであっても、万一、自発呼吸が微弱になったりした際にバックアップできるように、リスクに備えてS/Tモードを選択しています(図)。

換気モードの選択

換気モードの選択

次回は「NPPV実施の手順」について解説します。

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