第6回 緩和ケアへの移行時に抱えるストレス
- 公開日: 2012/5/3
心身状態が悪化し、生活に支障が出るなか、残された時間をどう過ごしたいかという思いを捉えることが大切です。
緩和ケアへの移行時に抱えるストレス
抗がん治療の中止は、もはやがん疾患に対する手立てがないということを意味する場合が少なくありません。その場合、患者さんにとっては、人生の終焉に向かうカウントダウンが始まったととらえることになります。
体力が低下し、食欲不振、全身倦怠感、呼吸困難、悪心・嘔吐などの身体症状は悪化していきます。緩和ケアで症状コントロールを図っていくものの、日常生活にも支障をきたすようになります。
身体機能の喪失に加え、これまで以上に社会的役割の喪失感、身体のコントロールができないことによる自律性の喪失感に見舞われるなど、身体的苦痛だけではなく精神的苦痛も強くなります。さらに、家族や親しい友人との関係性を失うことが、大きな苦痛となります。
患者さんの中には、これから残された時間をどのように過ごすかを考え始める人もいれば、現実を受け入れず治療の継続を望む人もいます。ただ、その気持ちは受容と否認・悲嘆の間で揺れ続けています。
続いては、患者さんに確認したいポイントについて解説します。
確認ポイント
療養生活への希望を確認
患者さんが、治療中止という事実をどう受け止めているかを確認します。
例えば、「あなたのことが心配なのですが、お話をうかがってもいいですか?」「今、どのようなことをお考えですか?」などと、聞いてみます。
患者さんが「話したくない」という場合には、「心配しています。何かご協力できることがあれば、おっしゃってください」と自分たちが心配していること、支援したい気持ちがあることを伝えます。
療養生活については、患者さんが望んでいることを理解して、それをサポートします。
「これから、どういう生活設計を考えていますか?」「どこで療養をしようと思っていますか?」「何か準備をしようと思っていますか?」「自宅で療養するとしたら、困ることはありますか?」など、これからの生活について患者さんの考えを聞いていきます。
ただし、患者さんの心は日々揺れているので、その時々で意向が変わることを理解した上で、その都度必要な情報を提供していきます。
次回からは、患者さんとの会話術についてレクチャーします。
(『ナース専科マガジン』2010年9月号より転載)
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