第12回 胃部不快感を訴える、在宅療養中の患者さん(その1)
- 公開日: 2015/5/8
今回の事例を通して、優先順位の考え方や思考の過程を書くことの大切さについて解説していきます。
今回の事例
しばしば胃部不快感を訴える自宅療養中の患者さん
[もこもこさん から提供された事例]
心筋梗塞の既往があり、心不全、胃潰瘍、便秘、下肢の筋力低下により寝たきり状態で、自宅療養中の患者さん。
自力排便が困難なため定期的に摘便し排便コントロールを行うため訪問を開始。しばしば胃部不快感を訴えていました。
訪問当初は脈拍60後半〜70回/分でしたが、50後半〜60/分となっており、腹部膨満がありました。
→この患者さん、どう対応する?
まずは、事例のような患者さんを見たとき、どのように対応するかをナース専科コミュニティの会員のみなさんに聞きました。回答者数は99人。
排便コントロールができていないと考える人がもっとも多い結果となりました。次に、既往のある心不全が悪化していると考える人が多かったようです。
アンケート結果の回答理由を見ていきます。みなさんがどのようにアセスメントしたのでしょうか。
山内先生の解説を先に読みたい方はこちら
■山内先生の解説
みなさんの回答
「排便コントロールがうまくできていないと考え、上司または医師に相談」を選んだ人の回答理由
●腹部膨満あり、もともと摘便したりしている方なので、摘便しなくても自身の力で排便できるようにする。あんまり便秘がひどいと血圧があがって心臓に負担がかかるので、既往に心機能が心配な疾患があるので改善が必要。寝たきりであっても便を柔らかくすれば排便できる人はできるので。また整腸剤を増量してもいいかも。(りょさん)
●排便困難による腹部膨満がみられ、胃部不快感もそれが原因である可能性も。胸部症状に留意すべきだとは思いますが、脈拍の減少だけでは判断できません。(macoさん)
●腹部膨満感があり以前から摘勉で排便をコントロールしている。また寝たきりであるため、活動力の低下により腸蠕運動低下も考えられる。その為排便コントロール不良と考えられる。心不全は悪化すると徐脈になるが脈拍数はいつもの数値より少し早い程度で異常数値ではないため心不全の悪化は考えにくい。(新米ナースさん)