【連載】輸液製剤がわかる! なぜ、その輸液製剤が使われるのか?
リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液の違いは?
- 公開日: 2014/7/29
治療の一環として日常的に実施される輸液。でも、なぜその輸液製剤が使われ、いつまで継続するのかなど、把握できていない看護師も意外と多いようです。まずは、輸液の考え方、輸液製剤の基本から解説します。
○○リンゲル液の○○は何が違う?
水・電解質の補給を目的とした等張性の電解質輸液製剤は、投与すると細胞外液に分布します。細胞外液補充液とも呼ばれ、生理食塩液のほかにリンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液などがあります。
[リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液]
生理食塩液にはNa+とCl–が添加されていますが、K+とCa2+を添加して、より細胞外液(血漿)の電解質組成に近づけたのがリンゲル液です。電解質組成がNa<Clが特徴で、出血性ショックや熱傷、手術時、代謝性アシドーシスの治療に用いられます。
しかし、リンゲル液には血漿にあるHCO3–は含まれていません。そこで、HCO3–の代わりに乳酸イオンや酢酸イオンを加えたのが、乳酸リンゲル液および酢酸リンゲル液です。HCO3–は体内での酸塩基平衡を維持する物質で、乳酸や酢酸は代謝されるとHCO3–になるため、体内でアルカリ化剤として機能します。
「○○酸リンゲル液」はNa>Clが特徴であり、等張液の中では、最も細胞外液の電解質組成に近くなっています。
ただし、肝障害の患者さんでは乳酸代謝ができず、乳酸リンゲル液の使用によって乳酸性アシドーシスを招くことがあります。
現在は、より細胞外液組成に近い、炭酸水素イオンを加えた重炭酸リンゲル液も使われています(下図)。
細胞外液を補充する輸液製剤(等張液)
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