第5回 乳がんの内分泌療法ってなに?
- 公開日: 2013/1/10
今回は乳がんの再発予防や再発・転移時に行う治療の一つ、内分泌(ホルモン)療法について解説。治療を行う患者さんにどのような支援を行えばよいのかを知っておきましょう。
Q. 乳房切除術と乳房温存術は、病状のどのような部分をみて選択するのですか。
A. 主に腫瘍の大きさや数、位置をみますが、選択には患者さんの意向も大きくかかわります。
解説 乳がん患者さんの約70%が適応
乳がんの再発予防や再発・転移時の治療の一つに、内分泌(ホルモン)療法があります。ホルモン感受性が陽性の乳がんでは、女性ホルモンががんの増殖因子となるため、その有効性が証明されています。
ホルモン感受性が陽性の乳がんは、体内の女性ホルモン(エストロゲン)の刺激を受けて増殖します。そこで、体内で産生されるエストロゲンを抑制したり、がん細胞内のエストロゲン受容体と体内のエストロゲンの結合を阻害したりすることで、がん細胞の増殖を防止しようとするのが、ホルモン療法です。
したがって、適応となるのはホルモン受容体が陽性タイプのがんで、乳がん患者さんの約70%がこのタイプに該当しています。
ホルモン療法に用いられる薬剤は、エストロゲンの産生を抑制するLH-RHアゴニスト製剤とアロマターゼ阻害薬、がん細胞とエストロゲンの結合を阻害する抗エストロゲン薬があります。閉経の前と後ではエストロゲン産生の過程が異なるため、使用される薬剤も異なります。
※続いては、患者さんへの説明について解説します。