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【連載】女性のがんのケア

第4回 乳房切除術と乳房温存術の選択の基準とは?

  • 公開日: 2013/1/3
  • 更新日: 2020/10/21

今回から特に迷いがちな質問をピックアップし、臨床で活躍する看護師に聞きました。今回は乳がんの手術方法の選択について解説します。


Q 乳房切除術と乳房温存術は、病状のどのような部分をみて選択するのですか。

A 主に腫瘍の大きさや数、位置をみますが、選択には患者さんの意向も大きくかかわります。

がんの状態に合わせて選択する乳房切除術と乳房温存術

かつては、乳房や周囲の皮膚、大胸筋や小胸筋、リンパ節なども含めて、大きく切除するハルステッド法が主流でしたが、手術範囲を拡大・縮小しても生存率に差がないことがわかっています。

そのため現在は乳房切除術と乳房温存術をがんの状態に合わせて選択しています。

乳房温存術では、温存した乳腺内の再発予防目的で、手術後温存した乳房に放射線を照射して局所の再発予防を行う必要があります。

乳房切除術と、乳房温存術後に残存乳房に放射線を照射した場合、いずれも予後に差がないことが証明されています。

したがって、どちらを選択するかは、がんの種類やステージ、腫瘍の大きさ・位置・個数などから最適の術式を提案し、患者さんの意向も考慮しながら決定します。

Q 乳房切除術と乳房温存術の選択の基準とは?

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A それぞれの適応に沿って選択する

乳房切除術は乳房全体を切除するもので、大胸筋と小胸筋を残す胸筋温存乳房切除術が一般的に広く行われます。

「しこりが2つ以上で同じ側の乳房の離れた位置にある。しこりが大きい。小さくてもがんが乳管内に広範囲に広がっている」などの場合が適応となります。

しこりが乳頭や乳輪の近くにある場合、乳房温存術はできますが、整容性に劣るという理由から、乳房切除術が選択されることがあります。

一方、乳房温存術はしこりを含む乳腺の一部を切除するもので、「多発病巣がない。しこりの大きさが3cm以下(乳房の大きい人は4cmぐらいまで可能)。

各種画像診断でがんが広範囲に広がっていないことが確認されている。術後放射線治療が可能である」などが適応といわれます。しこりが大きくても、術前化学療法を行い、しこりを縮小させてから温存手術が可能となるケースもあります。

乳房温存術の種類は、乳頭を中心にしこりを含む乳腺を扇状に広く切除する扇状部分切除術と、しこりから1~2cm離れたところの乳腺を一緒に円筒状に切り取る円状部分切除術の2つです。

扇状部分切除術は、がんを取り残す可能性は少ないものの、切除範囲が大きいため、乳房の変形が目立つことがあります。円状部分切除術は、切除範囲が小さいため扇状部分切除術よりもがんを取り残す可能性が高くなりますが、乳房の変形が目立ちにくいといわれています。

Q 乳房切除術と乳房温存術の選択の基準とは?

A 術式の長所、短所など適切な情報提供が重要

乳がんの手術療法の場合、患者さんの意向が大きくかかわることから、医療者からの情報提供が重要になります。

各術式の長所と短所、術後の経過や合併症など、患者さんが具体的にイメージできるような情報を伝えることが大切です。

病棟看護師は、入院時の病歴聴取の際に、術式選択までの気持ちや決断した理由などを聞き、患者さんの苦悩や思いを受け止めたうえで、正しい知識・理解によって選択できたかアセスメントします。

そしてさらに必要と思われる情報を提供し、不安の軽減や、間違った知識を修正する過程に寄り添うよう努めます。

例えば、患者さんのなかには、術後に「こんな胸になるなんてイメージが違う」と嘆く人もいるため、術前に術後の身体の変化に対してどのようなイメージをもっているのかを確認することも大切です。

特に乳房温存術の場合、術直後は創部の液体貯留のため乳房の変形がそれほど目立ちませんが、1カ月くらい経過すると、変型が目立ってきます。患者さんがそのときにボディイメージの変化を受容できるよう、入院中からある程度の経過や予測を説明するようにします。

乳房切除術と乳房温存術の選択の基準

※次回は、乳がんの内分泌療法について解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

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