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【連載】疾患別 検査値の看護への活かし方

【感染性心内膜炎】検査値の看護への活かし方

  • 公開日: 2014/6/30
  • 更新日: 2020/10/21

検査値が何を示しているのか、また検査データを踏まえてどのような看護を行えばいいのか、実際のデータをもとに読み解いてみましょう。今回は、「感染性心内膜炎」です。


事例

持続する発熱で来院した患者さん(男性、57歳)、主訴・症状は以下のとおりでした。

持続する発熱

頭痛

検査データ[受診時]

血液一般検査

  1. RBC(万/μl):384
  2. Hb(g/dl):11.5
  3. Ht(%):33.9
  4. WBC(/μl):10600
  5. 棹状核好中球(%):8
  6. 分葉核好中球(%):50
  7. 好酸球(%):3
  8. 好塩基球(%):1
  9. 単球(%):8
  10. リンパ球(%):30
  11. Plt(万/μl):41.3

生化学検査

  1. ALP(U/l):173
  2. AST(U/l):17
  3. ALT(U/l):22
  4. LD(U/l):471
  5. γ-GT(U/l):50
  6. CK(U/l):57
  7. T-Bil(mg/dl):0.45
  8. D-Bil(mg/dl):0.1
  9. TP(g/dl):8.3
  10. Alb(g/dl):3.4
  11. BUN(mg/dl):16
  12. Cr(mg/dl):0.81
  13. UA(mg/dl):5.3
  14. T-Cho(mg/dl):165
  15. TG(mg/dl):120
  16. Glu(mg/dl):94
  17. Na(mEq/l):138
  18. K(mEq/l):4.8
  19. Cl(mEq/l):100
  20. Ca(mg/dl):8.9

免疫血清検査

  1. CRP(mg/dl):7.3

血液培養

  1. 1セット CNS(few)
  2. 2セット α-streptcoccus(few)
  3. 3セット 同上

心エコー

  1. 僧帽弁前尖に high echo mass
  2. 僧帽弁逆流
  3. 三尖弁逆流(軽度)

検査値の読み方のポイント

この患者さんの場合、発熱と頭痛の症状がありましたが、血液検査に異常値はあまり認められません。異常があるとすれば、WBC(白血球数)が10600/μlと増加していること、CRPが7.3mg/dlと高値になっていることです。

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尿検査では細菌や微生物の検出は認められませんでした。さらに髄膜炎の可能性を考え、髄液検査を実施しましたが、やはり細菌は検出されていません。同時に、血液培養を時期を変えて3セット実施しました。

3セット実施する理由は、検査の精度(検出率)を上げるためと、皮膚からの常在菌の汚染(コンタミネーション)を考慮するためです。検査の結果、1セットでCNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)が認められました。

CNSは皮膚の常在菌で、病原性は低い細菌です。1セットのみなのでコンタミネーションと考えられます。2セットと3セットでは病原性の高いα-溶連菌が認められました。α-溶連菌は口腔内などの常在菌ですが、2セットともに陽性であるため、この細菌による敗血症が疑われました。血液培養は適切なタイミングでの実施が重要になります。

診断のポイント

発熱性疾患の原因としては、感染症が疑われますが、髄膜炎や敗血症などを引き起こしている可能性を考えなければなりません。検体を採取できるのは、尿、血液、脳脊髄液などです。原因を究明するために可能なかぎり検査する必要があります。

ここでは、髄膜炎という最悪のケースを考慮して、腰椎穿刺による髄液検査を実施していますが、尿検査同様やはり細菌は検出されませんでした。陰性という結果から、まずは髄膜炎が否定されました。

次に、炎症や感染の存在を示すCRPとWBC値の推移に注目してみましょう。「抗生剤の投与によって細菌が死滅して快方へ向かえば、WBCは落ち着くし、CRP値も低下するだろう」と一般的には考えがちです。

しかし、症状が落ち着いてきているのにCRP値がいつまでも高値を示すということはよくあります。実は、CRP値は2~3日前の状態を反映しているため、「患者さんの毎日の急激な変化からすると遅れたものをみている」と考えたほうがよいのです。

反対に、何らかの病変が生じた場合、発症初期ではCRPがまだ上がっていない状態のこともある、ということに注意が必要です。CRP値の変動はあまり鋭敏ではないことを踏まえておくと、検査値も読みやすくなります。患者さんのリアルタイムの炎症を反映しているのはWBC値です。

診断・経過観察時に必要なその他の検査

検体検査で敗血症であることまではわかりますが、それがどこを障害しているかまではわかりません。確定診断のためには画像診断を行います。

この患者さんの場合、敗血症に併発する感染性心内膜炎を調べるために心エコーの検査を実施しました。その結果、僧帽弁膜に障害があるとの所見があり、感染性心内膜炎という診断が下りました。

看護のポイント

患者さんや家族に寄り添える看護

細菌性の尤贅がはっきりしていて、弁膜の変性、破壊が進行するときや心不全症状が進行すれば、手術の適応が考えられます。身体的苦痛に加え、症状が進行していることへの不安や恐怖といった精神的苦痛も加わることを考慮し、患者さんや家族に寄り添える看護が求められます。

心不全の徴候を見逃さないようにする

心内膜、特に弁膜に菌塊を交えた血栓(尤贅)が付着し、弁膜が破壊されます。そのため、敗血症、心臓弁膜症、心不全、塞栓症などの合併症を生じます。この症例では、既に僧帽弁や三尖弁の逆流があることから、心不全の徴候を見逃さないようにすることがポイントです。

栓塞徴候を見逃さない

全身状態やバイタルサイン、心不全徴候(呼吸困難感、浮腫)などを観察します。また、軽い麻痺症状、一過性の視力障害といった栓塞徴候が出現したら、すぐに医師に報告します。

身体的苦痛の緩和を図る

急な発熱や関節・筋肉痛、全身倦怠感などさまざまな身体症状が出現します。安楽・安全な体位などの工夫といった対応で身体的苦痛の緩和を図ります。また、心機能の状態にもよりますが、心負荷を減らすためにベッド上安静となることが多くなります。安静の目的を説明し協力が得られるようにします。

(『ナース専科マガジン』2013年8月号から改変引用)