第8回 腹部膨満を訴える患者さんのアセスメント(排ガスの有無など)
- 公開日: 2014/12/12
今回からは下記の事例のアセスメントについて解説していきます。
今回の事例
腹部膨満を訴える患者さんのアセスメント
[匿名さん から提供された事例]
大腸がんの術後、腹膜播種があり腹水も多く腹部膨満感がある患者さん。ADLも低下し、ほとんど床上で過ごしています。
腹部膨満感を強く訴えていたので、普段は側臥位で過ごしてもらっていましたが、苦しそうにしていました。このような状態でも食欲はありましたが、身体を起こすと腹部膨満感が強く、起こせません。また、骨盤へのがんの骨転移もあり、座位になったり体動によって、疼痛が発生してしまう状況でした。
寝たままの食事は、誤嚥してしまう可能性が高く、怖くて行えませんが患者さんは食べたいと訴えています。医師に腹水を抜いてもらえないかと伝えましたが、難色を示しており、実施してもらえませんでした。
→あなたならどうアセスメントする?
まずは、会員のみなさんに腹部膨満を訴える患者さんがいたら、どこをアセスメントするかを聞きました。
回答者数は103人でした。
【山内先生の解説を先に読むならこちら】山内先生の解説
みんなの回答
腹部膨満をアセスメントするときにどこを見る?
●腹部膨満は腹水だけなのか、排便、排尿は出ているかをアセスメントします。(りんさん)
●実際に腹部を触って、張っているのか、かたさはどうか、確認します。腹水なのか、がんなのか。また、大腸がんならば、詰まっているのか、腸蠕動音を確認します。(KYKさん)
●最終排便日、腸蠕動音、排ガス貯留なのか腹壁の触診→腸の蠕動運動低下による便秘の可能性があるから
OPE歴、最終排便日、排ガスの有無、腹壁の状態、腹痛→麻痺性イレウスの可能性があるから
熱発の有無、腹部の圧迫痛、筋性防御→腹膜炎の可能性があるから
黄疸の有無、採血データ、既往歴、腹壁の状態→肝がんによる腹水貯留(Mさん)
●排便の有無や回数、圧痛、腹痛、腹鳴。排便がなくて、腹部膨満になることも考慮します。(りんごさん)
●一般的なバイタルサインを含めたフィジカルアセスメント(例えば腹囲測定)を行い、血液検査を含むデータを把握します。そして患者様の訴えも再度確認します。(設定さんさん)
●排便の回数と性状、排ガスの有無、嘔気の有無。大腸がんの術後でもあり、機能しているかを確認する必要があると思うから。(リーフレタスさん)
●自覚症状(腹部膨満感)、腹囲、触診したときの感触、打診。自覚症状があれば、何かしらあるとして原因を考えることが大切だと思います。また、客観的に数値でわかりやすい腹囲は1つの指標となると思います。打診すれば、空気がたまっているのかどうかもわかりますし、触ることで変化に気付きやすいです。(さはさん)
●採血データで栄養状態、腫瘍マーカー、呼吸状態や腹部の緊張度、腹囲測定などします。腹部膨満感が強いと横隔膜が挙上し、呼吸状態に影響を及ぼすこともあります。腹部の緊張度は腹水の量の判定にもなると考えます。定期的な腹囲測定や体重測定をすることにより 利尿剤の効果判定にもなると考えます。(ひゆさん)
●腹部を視診、触診、聴診をする。バイタルを測定する。問診し、自覚症状を聞く。(ちいさん)
●嘔気、嘔吐の有無。排便のコントロールができているか。呼吸状態がどうか。(あさん)
●術後何日目か→手術の侵襲
腸蠕動運動はあるか・腹部単純撮影→イレウスの有無
鎮痛剤の投与の有無→麻薬の副作用(ラベンダーさん)
●腹水によるものなのか、腫瘍によるものなのかを見極める。また、予後を考慮しての腹水穿刺やCARTを医師と考える。穿刺が難しく、物理的な容量が減らないのであれば筋緊張を取るようなセルシンやアナペイン使用を検討してもらう。(ちーこさん)
●聴診、触診、打診を行う。打診で濁音や鼓音を聞き分け、ガス貯留なのか腹水貯留なのかをアセスメントする。(うさたんさん)