第9回 浮腫があるのに、脱水のため水を欲しがる患者さん(その1)
- 公開日: 2015/2/6
今回の事例では、いくつかの症状がある患者さんをどう捉え、アセスメントしていけばよいのかを考えます。
今回の事例
【脱水の患者さんのアセスメント、どうする?】
ICUで緊急入院された熱中症の患者さん。夏の暑い部屋で空調設備もなく倒れていたところを発見され、運ばれてきました。 熱中症以外にも栄養状態が悪く、水分だけでなく食事も摂取されていませんでした。高度貧血と脱水があり、輸血と補液を開始。輸血を行ったことで、貧血はある程度改善され、その後は補液のみを行いました。飲水制限はありませんでした。尿が出ていないため過度の飲水で、浮腫が出現。それでも口渇が強く、飲水を希望されています。
→あなたならこんなときどうする?
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●浮腫があるのに、脱水のため水を欲しがる患者さん(その2)
山内先生の解説を先に読みたい方はこちら
●山内先生の解説
まずは、この患者さんが引き続き飲水を希望したとき、患者さんに水を渡すかどうかをナース専科コミュニティの会員に聞きました。回答者数は271人でした。
過半数以上の人が「いいえ」と回答。では、それぞれの回答理由を見ていきましょう。
「はい」と答えた人の回答理由
●浮腫があっても、飲水制限がなく、患者が口渇を訴えるのであれば、水を渡します。(まりもさん)
●ごく少量の水または氷をあげます。心疾患や腎疾患の可能性もありで貧血の原因がわからないので、最悪、腎性貧血の可能性を考えます。頭からあげないとストレスを与えるので。(小春ままさん)
●ただの水だと塩分不足なのでOS-1なら多少は(輸液量はその分減らして)経口摂取は構わないと思う。絶食はptにとって苦痛なもの。(kokoさん)
●飲むだけではなく、口を漱ぐ、氷片を含むなど、心理的に飲水要求を満たすことも大切。(まりりんさん)
●呼吸状態や血行動態に注意しながら、少量の氷などを与える。乏尿状態については他にもデータをみて医師に相談、治療方針を検討してもらうことは必要かもしれない。しかし、尿が出ないからといって、一方的に水分を制限しても、患者様の改善につながるとは思えない。(あきらさん)
●口渇がある=脱水状態がまだ残っているのではないかと考える。浮腫があっても、血管内の脱水が改善しているとは考えにくい。また、浮腫は低栄養(低蛋白)からくるものかもしれないので、水過剰と安易に考えるのは危険かもしれない。何より、急性期を脱し経口摂取が可能なら、経口で水を飲んでもらったほうがいい。(トウヤさん)
●飲水制限もなく、口渇を訴えているため、無理に水分を止める必要はないかと。検査値等も確認し浮腫をドクターに報告してから指示をあおぎます。(母さん)
●少量のお水もしくは氷など口に含む程度で渡すと思うから。また飲水制限の確認を患者の状態を報告して医師にすると思う。(匿名希望さん)
●低アルブミン血症に伴う浮腫の可能性があり、心不全のよう心負荷をそれほど重要視す必要はなさそうだから。(Mintoさん)
●少量のみ飲水させますが、低栄養により浮腫であれば胸水の可能性もあり、採血データやレントゲン、点滴、内服薬などすべてをみて量を決めます。(いつさん)
●浮腫は、低栄養による可能性が考えられる。心臓、腎臓機能と尿が出ない原因を調べる。飲水は、時間と量を決めたり、氷を含んで代用してもらう。(3月の桜さん)
次ページでは「いいえ」と答えた人の回答理由を見ていきます。