【連載】何かヘンだ”がわかる! 急変前に気づく五感アセスメント
第9回 急変の予兆を知る 意識・精神活動の変化と「お決まりの抵抗手段」⑤「冬眠」行動
- 公開日: 2015/10/11
はっきりとした予兆もなく、患者さんが急変したり、重篤な疾患が進行していたりする経験があると思います。そのような急変に先立って、先輩の看護師や医師から「あの患者、何かヘンだよね」という直感的な台詞を聞いたことがあるかもしれません。
この連載では、急変前の「何かヘン」と感じる患者への直感的な違和感について解説し、急変を見抜く力を養います。
「冬眠」のような行動とは?
教科書にある「危険なサイン」は「言葉のサイン」であり、リアリティがありません。この「リアリティの欠如」の最大の原因は、「冬眠」行動が理解されていないことです。
「危険なサイン」の本質は、「生き残りシステム」が戦っているときの「全体的イメージ」です。「冬眠」行動は患者さんの「全体的イメージ」を「日常」モードから「非常事態」モードへと大きく変えます。
「冬眠」の様子について
「冬眠」行動とは、じっとして「冬(危機)」をやり過ごす「守りの姿勢(非常事態モード)」です。呼吸促進、自律神経反応、炎症反応といった「お決まりの抵抗手段」や、適切な治療によって生命の危機を乗り越えるまで、「体力を温存しながら静かに耐え忍ぶ」ことです。
患者さんが「耐え忍ぶ」様子とは、意欲の低下、関心の低下、集中力の低下、眠気、食欲低下、倦怠感などです(典型的にはインフルエンザの患者さんの様子)。
「身体の動き(行動)」と「心の動き(精神活動/「頭の回転」)」の抑制的な変化です。アバウトに言えば「元気がない」、「活気がない」、「ぐったりしている」といった淀んだ雰囲気(全体的イメージ)です。