【連載】何かヘンだ”がわかる! 急変前に気づく五感アセスメント
第15回 急変の予兆を知る 「顔」で捉える“何かヘンだ” ①全身状態と「顔」
- 公開日: 2015/11/22
はっきりとした予兆もなく、患者さんが急変したり、重篤な疾患が進行していたりする経験があると思います。そのような急変に先立って、先輩の看護師や医師から「あの患者、何かヘンだよね」という直感的な台詞を聞いたことがあるかもしれません。
この連載では、急変前の「何かヘン」と感じる患者への直感的な違和感について解説し、急変を見抜く力を養います。
今回は、全身状態と「顔」についての解説です。みなさんが「○○さんの全身状態が悪い」と直感したときのことを思い浮かべてみて下さい。思い浮かぶのは患者さんの「全身」ですか?違いますよね。患者さんの「顔」でしょう。多くの場合、私たちは患者さんの「顔」で、危険な「全体的イメージ」を察知します。
「顔」と「コミュニケーションの乱れ」
人間の最も大きな特徴は、高度に発達した意思疎通能力、すなわち「コミュニケーション」能力です。日常的なコミュニケーションは、体内のホメオスタシスが安定し(第1回)、意識レベルがクリアで、精神活動(心あるいは「頭の回転」)」が活発であるからこそ可能なのです。
コミュニケーションは言語(会話)だけではありません。むしろ、患者さんの「全体的イメージ」と関連が深いのは、表情、視線、「目の力」や身振り・手振りといった非言語的コミュニケーションです。私たちは非言語的コミュニケーションによって、相手との間に安定した、テンポのよい「シンクロ状態」を作り出します。
患者さんの「軽い意識障害」や「冬眠」行動は、「シンクロ状態」を乱すため、私たちは直感的に“何かヘンだ”と違和感を抱きます。「コミュニケーションの乱れ」は言葉で説明しにくく捉えがたいのですが、これに気づく「手がかり」となるのが「顔」です。