1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. がん
  5. がんの副作用ケア
  6. 第15回 リンパ浮腫の予防法と対処法

【連載】女性のがんのケア

第15回 リンパ浮腫の予防法と対処法

  • 公開日: 2013/3/23
  • 更新日: 2021/1/5

術後にリンパ浮腫に悩まされる患者さんは少なくありません。がん患者さんの苦痛を軽減するためにも、予防法と対処法を知っておきましょう。


▼浮腫についてまとめて読むならコチラ
【浮腫とは?】浮腫のメカニズムと治療・ケア

▼がん化学療法についてまとめて読むならコチラ
がん化学療法とは?副作用の出現時期や症状別の看護


Q. 術後のリンパ浮腫の予防方法とリンパ浮腫発症後の対処法を知りたいのです。

A. 予防法としてリンパドレナージ(マッサージ)を指導し、リンパ浮腫発症後は複合的理学療法がセルフケアできるように指導します。

解説 痛みはほとんどなく 軽度の痛みと左右差が特徴

 リンパ浮腫は、リンパ管の流れががんの治療によって阻害された結果、皮下組織にタンパク質などが豊富に含まれる組織間液が貯留して起こります。

※続いても、引き続きリンパ浮腫の予防法と対処法について解説します。
>> 続きを読む


 乳がんや婦人科がんは、手術の際に腫瘍周囲のリンパ節を郭清したり、放射線照射を行います。乳がんでは腋窩リンパ節、子宮頸がんでは骨盤リンパ節、子宮体がんや卵巣がんでは骨盤リンパ節と傍大動脈リンパ節などが、郭清や照射の対象となります。乳がんでは患側上肢に、婦人科がんでは下肢にリンパ浮腫が生じやすくなり、30%程度の人に出現します。

 リンパ浮腫は、神経を刺激するような鋭い痛みが出現しないのが特徴ですが、皮膚がパンパンに張るほどむくんでしまうと、重く締め付けられるような軽度の痛みがみられます。また、リンパ管の流れが阻害されている近くからリンパ浮腫が発現し、左右差がみられるのも特徴の一つです。

まずはリンパ浮腫かどうかの見極めを

 リンパ浮腫の治療は、複合的理学療法と呼ばれ、主に(1)スキンケア、(2)医療徒手リンパドレナージ、(3)圧迫療法、(4)圧迫したうえでの運動療法を行い、患者さんがセルフケアできるように指導します。

 浮腫(むくみ)が発症したら、まずその浮腫がリンパ浮腫なのかどうかを判断する必要があります。

 がんは身体の中で血栓をつくりやすいため、深部静脈血栓症による浮腫なのか、がんがリンパ節に転移をしたり腫瘍が血管を圧迫したためのものなのか、抗がん剤(タキサン系)の副作用によるものなのかなどを判別します。

 浮腫の原因によってそれぞれ対処方法が違ってきます。また心不全や腎不全、がんの終末期の悪液質でも四肢がむくみやすくなり、リンパ浮腫かどうか判断に迷うときには専門家にコンサルテーションを依頼する必要があります。

 当院では、婦人科・乳腺外科で手術に際しリンパ郭清が行われた患者さん全員に、予防のためのセルフケアとして、リンパドレナージが行えるよう入院中に指導を行っています。

 蜂窩織炎などの合併症が起きないように、乳がんでは患側上肢、婦人科がんであれば両下肢を圧迫しすぎない、傷を作らない、毎日観察を行うなどの生活指導を行います。また、むくみが出現してきたら、リンパ浮腫の研修が終了している看護師の外来を受診するようにも説明しています。

 弾性圧迫衣は比較的高価なのですが、2008年から弾性圧迫衣(ストッキングやスリーブ)や圧迫のための包帯は、(1)医師が弾性着衣等装着指示書を記載する、(2)弾性圧迫衣や包帯を購入した領収書を添付する、(3)患者さんが自分の健康保険組合へ療養費として申請するという手順で、健康保険3割負担の人であれば7割分が戻ってくるようになりました。

進行するとQOLの低下につながる セルフケアのサポートは必要

 リンパ浮腫が長期化すると皮膚や組織の線維化が進み、圧迫してもへこまなくなり、皮膚は乾燥して硬くなり象皮症などが起こり、浮腫の改善が難しくなります。リンパ浮腫が進行するとボディイメージやセクシュアリティにも影響が及び、がん患者さんのQOLが低下します。

 リンパ浮腫は早期に発見し、早期から正しい対処方法をとれば、増悪が防げます。リンパ浮腫の複合的理学療法は、患者さん自身がセルフケアとして生活に取り入れながら、継続して実施することが重要です。看護師は、患者さんの生活にどのように取り入れていくかを患者さんとともに考え、サポートしていく必要があります。

複合的理学療法の概要
(表 複合的理学療法の概要)

※次回は、子宮頸がんなどの術後に起こる排尿障害への対処法について解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

【抗がん剤の副作用ケアまとめ記事】
*【抗がん剤の副作用】がん化学療法とは?副作用の出現時期や症状別の看護

この記事を読んでいる人におすすめ

新着

[動画]爪囲炎のテーピング方法|セツキシマブ投与で起こる副作用【PR】

セツキシマブ(アービタックス®)を使用した際の特徴的な副作用である皮膚症状の1つ、爪囲炎の対処法について解説します。 爪囲炎は、投与開始後4〜8週を目処にみられることが多いとされています。 爪囲炎がみられたら、爪と肉芽や爪の皮膚が接触しないようテーピングを行い、保

2020/8/25