1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. がん
  5. がんの副作用ケア
  6. 第16回 排尿障害に対する対処法

【連載】女性のがんのケア

第16回 排尿障害に対する対処法

  • 公開日: 2013/3/30

婦人科がんの術後に排尿障害が起こることがあります。この場合の排尿障害は、頻尿や尿漏れよりも尿意がない、尿を出しづらいなどの排尿困難が多く見られ、残尿により他の疾患を発症する危険性もあります。どのように対応すればよいのかを解説します。


Q. 子宮頸がん等の術後に起こる排尿障害に対する対処法を教えてください。

A.「尿意がない、出しにくい、残尿がある」のが特徴。残尿が続くと、尿路感染や水腎症など腎機能の悪化につながります。残尿のない排尿習慣の確立が大切です。

骨盤神経叢へのダメージが排尿障害の原因

婦人科がん術後の排尿障害は、子宮頸がんなどに行われる広汎子宮全摘出術後に起こります。この術式は、がんが浸潤しやすい靭帯(基靭帯、直腸腟靭帯・膀胱子宮靭帯)まで広範囲に切除するため、膀胱や直腸の動きを調節している骨盤神経叢にダメージが加わり、排尿障害の原因となります。

最近では、自律神経温存術が行われますが、神経は髪の毛のように細く、神経損傷リスクが高い非常に難しい手術です。

人間の排尿は、蓄尿時には膀胱が弛緩して尿道が収縮し、排尿時には膀胱が収縮して尿道が弛緩します。排尿は、膀胱と尿道が相反した動きで可能になりますが、これを調整しているのが、自律神経の骨盤神経(副交感神経)と下腹神経(交換神経)です。骨盤神経は畜尿時、下腹神経は排尿時に働き、自分の意思ではなく自動的に調整します。

ほかに、自分の意思で調整できる体性神経の陰部神経を加え、これら3つの神経が微妙にコントロールして、人間は尿を貯めたり、出したりできます。正常な場合、膀胱容量は350~400mLくらいで、150~200mL貯まると尿意を感じます。

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

知っておきたい【発熱性好中球減少症】に関する知識[動画]ジーラスタ®ボディーポッド誕生までの軌跡【PR】

知っておきたい【発熱性好中球減少症】に関する知識[動画]ジーラスタ®ボディーポッド誕生までの軌跡  がん化学療法の副作用には、さまざまな種類があることが知られていますが、がん化学療法に伴う好中球減少時の発熱を、発熱性好中球減少症(FN:エフエヌ)とよびます。

2023/10/2

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
4位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
5位

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

250839
6位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
7位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
8位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
9位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949
10位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636