アピアランスケア―スキンケア編【PR】
- 公開日: 2024/12/25
がん治療に伴う外見の変化
がんの三大治療である手術、放射線治療、薬物療法のいずれも、外見に変化が起こります。手術や放射線治療ではその治療部位に限局していますが、薬物療法では多様な変化が、さまざまな部位に生じます(表)。
表 がん治療に伴う主な外見の変化
治療法 | 主な外見の変化 |
手術 | 身体の欠損、形態の変化、瘢痕 |
放射線治療 | 皮膚炎、色素沈着、瘢痕、皮膚萎縮、脱毛 など |
薬物療法 | 体毛・毛髪にかかわる変化:脱毛、薄毛、変色、縮毛、剛毛 |
皮膚にかかわる変化:乾燥、色素沈着、白斑、紅斑、剝離、潰瘍、肥厚化、手足症候群 | |
爪にかかわる変化:爪囲炎、色素沈着、剝離、脱落、伸長遅延、変形 | |
その他:浮腫、体重の増減による体系の変化 など |
スキンケアの指導の基本
がん治療による皮膚障害には乾燥や色素異常、白斑、ざ瘡様皮疹、手足症候群などがあります。
治療により皮膚にどのような影響が出る可能性があるかを事前に伝えます。そして、ケアの基本は保清、保湿と保護です。医療者が行うスキンケアも、日常整容のスキンケアも同様です。
患者さんが治療前から自分なりのスキンケアをしていることが多いため、日常整容としてどのような清潔行為、スキンケアをしているのかを確認します。がん治療前に行っていたケア方法でよい場合もあり、使用していて問題のなかったスキンケア用品を継続して用いてもらうこともあります。相談にいらっしゃる方の中には「どんな商品を買ったらいいか。無添加製品がいいか、敏感肌用の製品がいいか?」との声が聞かれます。市販のスキンケア製品の「無添加」や「敏感肌用」の表示には明確な定義はなく、弱酸性のものなどにこだわる必要はないと言われています。普段とは違う特別なものを買わなくてはいけない、と考えると負担になるかもしれません。そのため、今まで使用していて問題のなかった製品を継続してもらうことがよいでしょう。ケア方法を変えたほうがよい部分があれば変更点を伝えていきます。医療者はより安全な方法を勧めがちですが、必要以上に患者さんの生活を制限させていないかを検討する必要もあります。
スキンケアのポイント
保清:日頃の洗浄の方法を確認します。洗い残しやすすぎ残しがないように丁寧に洗うように指導します。
保湿:治療の状況により、医薬品の保湿剤が処方されることがあります。軟膏やクリームは人差し指の先から第一関節までの量で大人の手のひら2枚分の面積に塗ることができます(図1)。保湿剤や保湿用化粧品はむらなくたっぷりと塗布するように、塗布後にティッシュがくっつく程度が保湿の目安です。
図1 クリームの適切な量
FTU(フィンガーチップユニット) FTUは大人の人差し指の先から第一関節まで薬を乗せた量で、チューブタイプ(口径が5mm程度)の軟膏やクリームでは、1FTU=約0.5g。 1FTU(約0.5g)は、大人の手のひら2枚分の面積(体表面積の約2%)に塗るのに適した分量の目安。 ローションタイプの場合は1円玉大が1FTUの目安
保護:紫外線からの保護では、日焼け止め、日傘や帽子、長袖の衣類や手袋などを活用します。最近は男性用の日傘も販売されています。ウォータープルーフの製品では洗浄料を使っても洗い流せず皮膚に残ってしまうこともあります。子供向けの製品はクレンジング剤など特別な洗浄料を使うことなく洗い落とすことができるので利用しやすいかもしれません。
お化粧について
患者さんが皮膚の変化をどのように感じ、どうしたいのかというニーズと個々のスキルに応じてお化粧の方法を考えていくとよいでしょう。 患者さんが感じているほどの色素沈着の変化を周囲からみるとそこまでは感じられない場合でも相談に来られることがあります。そのことを伝えると、ご自身が気にしすぎていたこと気づき、特別なメイクを必要としないと思われる方もいます。
軽度な色素沈着は一般的な化粧品で対応できることも多いです。本人の主観的な苦痛が大きい場合や標準的な肌色を逸脱している場合、凹凸が著しい場合には、カモフラージュメイク専用の化粧品の使用や美容専門家との連携を検討するとよいともいわれています。医療者は、美容専門家と連携を図るうえではアピアランスケアの意味を理解し、任せきりにするのではなく、どういう状況であれば乗り越えていけるか、不安なく生活していけるか、どうsurviveしていくかを考えることが大切です。
ひげそりについて
どれだけ伸びているかにもよりますが、あまりにも伸びていたら、いったん、はさみなどでカットし、カミソリではなく電気シェーバーを垂直にあてるようにします。ひげそり後は皮膚のバリア機能が低下していますので、保湿クリームなどを使用し、肌を保護します。
爪のケアについて
爪は皮膚の付属器官です。外的衝撃から爪先を保護する役割を担っています。
爪の変化によりADLに著しく影響を与える症状もあるほか、自分で直接見ることの多い指先の変化は、気持ちが落ち込む原因になる方もいます。
爪のケアの基本は保湿です。ハンドクリームや保湿剤などを意識的に塗ることを勧めています。
爪の変色のカモフラージュ、爪の菲薄化や脆さに対し爪の保護を目的としてマニキュアを用いることがあります。自分の好みの色を選択し数回重ねて塗布するとよいでしょう。男性の中にはマニキュアの塗布に抵抗を持たれる方もいますが、透明のマッドタイプのマニキュアといった、塗っているかわからない製品もありますので、抵抗なく使用される方もいます。
爪の変化は多様であると同時に、患者さんそれぞれの生活様式も多様です。爪のケアもそれぞれの生活様式に即した対処が求められます。
手術痕のケア
がん治療に伴う手術創や瘢痕や欠損は外見を大きく変化させ、社会生活に大きな影響を与えることがあります。形態や質感の変化を完全にカモフラージュすることは難しい現実もあります。傷跡があるからカバーやカモフラージュが必要と思い込まず、患者さんのニーズに合った方法を検討しましょう。
患部のスキンケアが必要になるかもしれませんし、ファンデーションやテープを使う場合もあるかもしれません。スカーフやマスクでカバーする方法でもよいかもしれません。
術前と同じ姿に戻すことではなく、本人が自分らしく日常生活を送れることを目標としていきましょう。
治療前の患者さんにどこまで伝えるか
治療により、どのような変化が起こるかを医療者は理解していても、初めて治療をする患者さんは知りません。そのため、治療前に情報提供をすることは基本ではあります。事前に適切な情報提供は、多くの患者さんにとって病気に対するコントロール感を高めるために有用です。しかし、がんと聞いて治療を始めることにショックを受けている状態では情報整理は難しいと思いますので、「いつでも相談に来てください」と相談場所の保証をします。
患者さんのつらい気持ちに寄り添い、気持ちを聞くことのみであればアピアランスケアではありません。何をどこまで聞きたいかの確認をしながら対応するとよいでしょう。
がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ
薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hada-college/hcp/
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