第15回 せん妄の治療やケアはどうするの?③薬物治療について―注射薬―
- 公開日: 2015/12/23
- 更新日: 2021/1/6
大きな手術後やがんの終末期などに極めて高頻度にみられる「せん妄」。せん妄は、注意力や意識が低下することで患者さんが転倒・転落したり、幻覚が見えて暴れたりと治療を大きく阻害するものです。特に低活動型のせん妄は見落としがち。本連載ではそんなせん妄へのアプローチ法をやさしく解説します。
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せん妄とは? せん妄の症状と看護
今春から外科病棟に配属された看護師のAさん。担当患者さんが手術後にせん妄を発症してしまい、日夜悪戦苦闘・・・。これを機に、せん妄について体系的に勉強したいと考えています。
看護師はせん妄治療薬に興味がなくてもいい?
井上先生:「今回と次回は、せん妄の薬物治療について解説します」
看護師Aさん:「せん妄の薬物治療はこれまであまり勉強する機会がありませんでしたが、とても興味があります」
井上先生:「私は以前、看護師さんは薬物治療にはあまり興味がないものと誤解していました。ただ、よく考えると実際に投薬するのは看護師さんですし、効果や副作用のモニタリングもまずは看護師さんが行いますよね」
看護師Aさん:「いつも経験的にやってきたので、今回しっかり勉強したいと思います」
*井上先生:「今回の講義では、せん妄の薬物治療のうち『注射薬』をとりあげます。注射薬を選択するのはどのような時ですか?」
看護師Aさん:「嚥下困難などで内服ができない場合、などでしょうか」
井上先生:「そうですね。イレウスなどで絶飲食になることもありますし、手術によっては術後しばらく内服ができない方もおられます。また、内服を拒否される場合や、不穏が強く即効性が要求されるようなケースなどでは、注射薬を選択することになります」
看護師Aさん:「そのような場合、何を使えばいいのですか?」
井上先生:「結論から言うと、注射薬の第一選択はセレネースⓇです。セレネースⓇは古くからよく使われている薬剤ですが、使い方のコツを知っておきましょう」
看護師Aさん:「ぜひ教えて下さい!」
せん妄への第一選択となる注射薬はセレネースⓇ
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