統合失調症で服薬管理が必要な患者さんの看護計画|自宅退院を目指す患者さん
- 公開日: 2024/8/30
統合失調症で服薬管理が必要な患者さんの看護計画
統合失調症の患者数は日本に約80万人といわれており1)2)、日本人にも多い精神疾患の1つです。しかし、同じ統合失調症であっても、同じ患者さんは一人としていないため、看護の提供が難しい疾患です。
陽性症状、陰性症状、認知機能障害といった症状があり、4段階の経過(前兆期、急性期、休息期、回復期)で必要な看護が変わります。さらに、患者さん本来の性格や抱えている背景を総合的に評価し、看護計画を立てなければいけません。
今回は自宅退院を目指している患者さんの服薬管理継続の支援について、看護計画を考えました。
観察計画 O-P 患者さんの精神状態や服薬状況を確認する。確実な服薬のために管理方法や疾患、治療への理解を把握する。
援助計画 T-P 患者さんの服薬状況を継続的に評価する。服薬継続が困難になる要因を排除する。患者さん本人が服薬の必要性を理解・納得した上で、自立して適切な服薬ができるよう支援する。必要に応じて他職種やキーパーソンと協働し、退院後に再発や悪化を予防するため、活動場所や社会資源を活用した対策や支援を検討する。
教育計画 E-P 患者さんの精神状態や認知機能に合わせて、服薬継続の必要性を説明する。不安や疑問があれば、いつでも話してほしいと伝える。必要に応じてキーパーソンだけへの指導や、キーパーソンを含めた説明の機会を作る。
*紹介する看護計画はあくまでも例です。この例を参考に患者さんに合わせた看護計画を作成してください。
■看護計画の書き方はこちら
看護問題リスト・看護計画の書き方|看護記録書き方のポイント2
看護問題
服薬の自己管理ができない
看護目標
服薬の適切な自己管理ができ継続できる
観察計画 O-P
バイタルサイン
精神症状の有無や程度
表情、言動、口調、行動
患者背景(社会背景、家族背景、生育歴)
家族や支援にかかわるスタッフ、他患者との関係性
患者、家族の服薬への理解、関心、病識
服薬状況・服薬後の様子(トイレなどでの吐き出し行為など)
薬剤の副作用の有無、程度
生活環境、病室の状況
ADL、IADL、生活技能
睡眠状況
食事、飲水状況・体重
排泄状況
検査データ(TP、Alb、BUN、Cr、HbA1c、CPK、CRP、K、薬物血中濃度など)
精神科訪問看護などの社会資源への知識と理解
援助計画 T-P
患者の訴えに耳を傾け、十分に話を聴く
精神症状、状態、理解度を適宜評価して対応する
安全に生活できる環境を調整する
休養、睡眠を確保する
ADL、IADL、生活技能の向上を支援する
必要に応じてセルフケアの介助を行う
患者自身で適切な服薬管理が継続できるように支援する
必要に応じて他職種と協働して服薬継続を支援する
退院後の生活を想定した服薬管理の課題を本人やキーパーソンとともに見つけ、解決できるよう支援する
退院後の活動場所や社会資源を活用した対策や支援を検討する
教育計画 E-P
理解度に合わせて患者やキーパーソンに疾患の経過や服薬継続の必要性を説明する
不足しているADL、IADL、生活技能を向上させるための知識や工夫を他職種と協働し説明する
必要に応じて食事療法、運動療法、薬物療法、社会資源の説明をする
疑問や不安、不満、不調などはいつでも伝えてもらうように説明する
看護計画を書くときに参考にしたい記事
精神科の疾患と治療を知っておこう(統合失調症・うつ病)
リエゾン精神看護について知っておこうー身体疾患の看護に精神看護をうまく取り入れよう
精神疾患の患者さんの家族を理解しよう
精神科患者さんに多い身体合併症を知っておこう!
引用文献
1)第13回 地域で安心して暮らせる精神保険料福祉体制の実現に向けた検討会 参考資料:精神疾患を有する外来患者数の推移(疾患別内訳),p.3(2024年8月26日)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000940708.pdf
2)第13回 地域で安心して暮らせる精神保険料福祉体制の実現に向けた検討会 参考資料:精神疾患を有する入院患者数の推移(疾患別内訳),p.4(2024年8月26日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000940708.pdf