【連載】経管栄養剤による「排便コントロール」改善への取り組み
第1回 経管栄養剤による「排便コントロール」改善への取り組み【PR】
- 公開日: 2016/5/16
- 更新日: 2021/1/6
経管栄養を行っている患者さんのなかには、下剤多用の弊害として、便秘や下痢の症状を繰り返す人が多く見受けられます。高齢の入院患者さんが多く、療養環境を重視した東京都板橋区にある竹川病院では経管栄養剤を見直すことで下剤使用量に変化がみられ、排便がコントロールしやすくなったといいます。その取り組みについて紹介します。
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便秘から下痢への悪循環を断ち切りたい
通常の経口による食事摂取と比べて、経管栄養を行っている患者さんの場合、便秘や下痢などの排便障害が起こりがちです。そのため、特に便秘に対し、下剤による排便のコントロールが行われている現状があります。
今回紹介する竹川病院でも、過去には下剤の使用量が多かったという実態がありました。「患者さんは、便秘でお腹が張って苦しい状態から、下剤を使って2~3日下痢が続くという悪循環を繰り返しがちです。それによって、腸内環境を悪化させていることは、私たち看護師もわかっています。ただ、下剤を使わざるを得ないというか、排泄ケアだけを最優先にできないというジレンマを抱えていたのです」と、同院で療養病棟の看護師長を務める田村政子さんは振り返ります。
竹川病院では、患者さんの排便や排尿など、排泄にかかわる尊厳を守ることを目的として看護部で「排泄部会」が設置されています。
田村さんも、着任した翌年の2014年から排泄部会にかかわるようになります。当時、部会では“排尿”をテーマに活動を行っていました。そして翌年、2015年度の活動テーマが“排便”となったことから、下剤の使用状況を調査してみたところ、使用量が多いという結果が出たのです。
田村さんは、前職の病院に勤務していたときから、排便と経管栄養剤の関係について興味をもち、勉強を続けてきました。管理栄養士と相談して、患者さんの症状に合った製品を探し、排便を調整するという取り組みをしてきました。そのとき使用した製品の1つに食物繊維グアーガム分解物配合経管栄養剤があり、使用経験を通して特徴と使いどころを実感していたといいます。