肺炎の治療方法とは
- 公開日: 2017/11/2
エンピリック治療を基本として、狭域抗菌薬と広域抗菌薬を使い分けます。
重症度と耐性菌リスクに応じて使い分ける
肺炎の治療は標的治療(原因菌を同定した治療)が理想ですが、実際には原因菌が同定できるのは全症例の中で半分以下です。原因菌が不明の場合は、経験的治療(エンピリック治療)を行います。エンピリック治療では原因菌の疫学的な検出頻度や重症度により治療薬を決めていきます。市中肺炎(CAP)の場合、耐性菌リスクはあまり考慮しなくてよいため、狭域抗菌薬の使用が主体となります(表2)。
軽症例では内服薬による外来治療が可能です。場合によっては1日1回の投与で済む注射抗菌薬を外来通院で投与する方法も可能です。中等症例では一般病床に入院させ、狭域抗菌薬の点滴投与を行います。敗血症の発症例や重症例では集中治療室へ入室させ、肺炎球菌や緑膿菌などに幅広く効果がある広域抗菌薬に、マイコプラズマやレジオネラをカバーできる抗菌薬を併用して投与します。MRSA感染の可能性が高い場合は抗MRSA薬も併用します。
院内肺炎(HAP)、医療・介護関連肺炎(NHCAP)では耐性菌リスクが高くなるため、広域抗菌薬を使う頻度が高まります(表3)。
重症度が低く、耐性菌リスクがない場合は狭域抗菌薬で治療を開始し、全身状態の改善がみられない場合に、必要に応じて広域の薬剤への変更も考慮する治療(escalation治療)を行います。
重症度が高い、または、耐性菌リスクがある場合は、広域の抗菌薬で初期治療を開始します。全身状態の改善が確認できた場合、可能であれば狭域の抗菌薬への変更を考慮する治療(de-escalation単剤治療)を行います。重症度が高く、耐性菌リスクもある場合は、広域抗菌薬を多剤併用します(de-escalation多剤治療)。耐性菌リスクについては、表4の耐性菌リスク項目に2つ以上該当する場合は、耐性菌リスクありと判断します。
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