腹腔ドレーンのミルキングの方法|適応と禁忌・2つの方法
- 公開日: 2017/11/27
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ドレーンとは|ドレーンの種類と管理
Q. ミルキングの正しい方法が知りたい! ドレーンの素材によってやり方は変わるの?
A. ミルキングにはローラーを使用する方法と手で行う方法があります。ドレーンチューブの種類や留置部位によっては、手で行うと十分にドレナージすることができないものがあります。
ミルキングの適応と禁忌
ドレーンの排液が粘稠度の高いものであったり、凝血塊などがみられる場合には、閉塞が起きる可能性があります。
それを防ぐために行うのがミルキングです。ただし、ドレーンの留置部位や病態によってはミルキングが禁忌となる場合もあります。
また、ドレーンチューブの中にはローラーによるミルキングができないものもあります。ミルキングの適応、必要性を医師にも確認したうえで行いましょう。
ミルキングは排液が腹腔内に逆流する危険が伴います。凝血塊、浮遊物は必ず排液バッグ側へ落とすなど、適切な方法で実施することが重要です。
表7-1 ミルキングを行えないのはこんなとき |
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●ドレーン刺入部に感染の兆候や痛みがある |
●膵管チューブや胆管チューブなどの消化作用の強い排液が予測される場合 |
(膵液や胆汁といった作用の強い消化液がミルキングによる圧で腹腔内に漏れ、腹膜炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性がある) |
●シリコン素材など、細くて軟らかいドレーンチューブ |
(ローラーによるミルキングは避ける) |
ミルキングの2つの方法
ミルキングには、ミルキングローラーと呼ばれる専用の器具を用いて行う方法と、手で行う方法の2種類があります。ミルキングローラーを使用する場合には、ドレーンも一緒に引っ張られることで抜去の危険性があるため、ドレーンをしっかり保持して行うようにしましょう。
■ミルキングローラーを使用する方法
①排液の逆流を防ぐために、ミルキングしたい位置よりややドレーン挿入部側を指で遮断し、保持する
※ドレーンチューブを損傷させないよう愛護的に扱います。挿入部に力が加わることで事故抜去とならないようにしっかり保持します。
②ミルキングローラーの中央でドレーンを挟む
※ローラーの端でドレーンを挟んでしまうと、ドレーン自体を損傷させてしまう危険性があるため注意します。
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③片手でドレーンを保持したまま、ドレーンを挟んだミルキングローラーをゆっくり排液バッグのほうに滑らせる
※ローラーを排液バッグ側に引いた後は、ドレーンを保持していた手を先に放します(挿入部側→ローラー側で放す)。
図7-1 ミルキングローラーによるミルキング
■手で行う方法
①排液の逆流を防ぐために、ミルキングしたい位置よりややドレーン挿入部側を指で遮断し、保持する
※ドレーンチューブを損傷させないよう愛護的に扱います。挿入部に力が加わることで事故抜去とならないようにしっかり保持します。
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②ミルキングしたい場所を反対の手の親指と人差し指で圧迫する
※アルコール綿などを使用すると圧をかけても滑らかにしごけます。
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③片手でドレーンを保持したまま、反対の手をゆっくりと排液バッグ側へずらして排出させる
※手を排液バッグ側に引いた後は、入部側→排液バック側の順に手を放します。
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