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【連載】臨床で使える精神科看護

[周産期]精神科病棟・外来以外での精神科患者さんへの対応②

  • 公開日: 2018/3/12

精神疾患をもつ人の妊娠・出産の動向

 全国の分娩施設で分娩をした妊産婦のうち、メンタルヘルス介入を要した妊婦は全体の4.0%にあたり、そのうち29.6%が精神疾患と診断され、17.8%は薬物投与を受け、25.4%は精神疾患の既往があったという報告1)があります。一方、1994年4月~2011年3月までの12年間に三重大学「母子精神保健専門外来」を受診した症例において、妊娠期および出産後の産褥期に初診となった精神科診断病名は、「不安障害」と「気分障害」が多く、「精神科既往歴があった」のは妊娠期で62.8%、産褥期で18.5%との報告2)があります。これらのことから、妊娠・産褥期に精神疾患を発症したり、過去に既往症のある人が再発したりする可能性は低くないことがわかります。

妊娠・出産期のこころの不調の代表例

 妊娠・出産期に生じやすい精神的な不調の代表的なものとして、産後うつ、マタニティブルーズ、産褥精神病が挙げられます。その経過や症状、特徴的な状態像について、表にまとめました。

 精神疾患の有無にかかわらず、妊娠・出産期はこころと身体の不調をきたしやすい時期であることはいうまでもありません。以降は、精神疾患の既往のある方を前提とした看護を中心に述べますが、精神疾患の既往のない方に対してもこころの不調をつかむきっかけになると思います。

表 妊娠・出産期の主なこころの不調

病名 経過や症状 特徴的な状態像
産後うつ 産後1~2週から数カ月にうつ病を発症する。症状はうつ病と同じ 産後に無表情になって言葉数が減る。喜びや育児への関心が低い
食欲低下や不眠
マタニティブルーズ 産後のホルモンバランスの急激な変化で、多くの産褥婦が経験する。2週間程度で軽快 産後のイライラ・気分の浮き沈みなど
易刺激性(敏感になる)
産褥精神病 出産後数日~数週以内に発症
症状:幻聴・被害妄想・まとまりのない会話
本人の認識がない場合もある
自殺企図や母子心中などのリスクがある
抗精神病薬の服用で症状が改善する
幻聴・被害妄想
会話のまとまりのなさは、同じことをくり返し聞いたり、急に話題が変わったり、何を言いたいかつかめないなど、会話の流れがスムーズにならないイメージ

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